ショートレビュー集 2014
同人ゲームや、かなり昔にプレイしたゲーム等をショートで紹介。

<目次>
(同人ゲーム)
Company:BOCG
ジャンケンファイブカードゲーム
ダズル
ゴーストップ
薮の中

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Company:BOCG

ようこそ。

 知性と感性に富んだヨーロッパ水準のボードゲームを生み出し、コミュニケーション豊かな社会の実現に貢献することを理念に、「世界水準のボードゲーム制作に挑む。」を運営されている作者の処女作。ドミニオンで一般的となったデッキビルドシステムを応用し、日本のビジネスをテーマとしたゲームです。

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箱を開けた瞬間、目に飛び込む「ようこそ。」の文字にはかなりのインパクトを感じます。印刷物の発注からカードのイラストまで、全て作者が行っているとのことです。凄いですね。

システムの基本はドミニオンです。
特徴としては:
・カードサプライが固定
・その分、最初に選択するユニーク経営者でプレイヤー間の特色を出す
・能力は強いが維持費の発生する不動産カードがある
・得点カードを獲得するのに、商品を売買する必要がある

カードサプライが固定な分、ユニークな経営者カードでプレイヤー間の特色を出しています。また、ドミニオンは、得点カードを含めて全てのカードをお金で購入できましたが、このゲームでは得点カードを獲得するのに少し複雑な手順を要求します。

ボード上に並べられた商品を購入して一旦保管し、それを売る事によって勝利点のカードを購入するのです。具体的には、お金で「カード」を買ってデッキに入れる事以外に「商品」を買う事ができ、カードの効果で商品を売ることができるのですね。商品を売った利益は、得点カードを取ることにのみ使えます。また、借金すると金回りは良くなるけれど、終了時までに返さないとマイナス点になるなどの工夫もこらされています。

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総評

 当初「カンパニー」は、ゲーム自体の販売促進方法にフェアでないと感じる部分があり敬遠していました。しかし、作者のブログを初めて拝見させて頂いたところ、意識を高く持って挑んでいる姿が見え、作品に興味が出ました。ただ、元々デッキビルディングを主軸にしたゲームは、ダウンタイムにすることが無く、多人数で遊ぶ事に意味を感じないのであまり得意ではありません。ドミニオン自体もそのシステムを一般化した功績は計り知れないと思いつつ、あまりプレイしたいとは思っていません。しかし、M.ワレスの「数エーカーの雪」など、デッキビルディングシステムでも別格のゲームは存在するので、情熱ある作者がどのように料理したのかが気になり、信頼できるかどうかわからない情報を辿るよりも、自分の目で確かめてみようと思い、1つ購入してみました。

ドミニオンの「背景がよくわからないファンタジーな世界」と比べると、「日本のビジネスシーンが舞台」という事で、日常の知識からゲームを理解しやすく、一般に受け入れられるテーマ選択に成功していると思います。不動産維持費や借金など、随所にビジネス的な要素を散りばめているのが光っています。このゲームのウリは、少し複雑なビジネス的手順を踏まないと得点カードを手に入れられないことで、そこに至るまでの販売網確立の達成感にあるのではないかと思います。


最終的に、実際自分でプレイしてみた感想は、「重たいドミニオン」でした。ドミニオンではお金で買える得点カードですが、このゲームではそれを獲得するための販売網を確立するまでが大変なので、そう感じるのかもしれません。一緒に遊んだプレイヤーは、複雑な手順に難を発していましたが、この部分に関しては、自分は逆に結構面白いと感じたので、プレイヤー次第というところでしょう。

 それよりも気になったのは、そこまでが重い割に、得点カードが高額資金の役目も果たしているため、まわり始めたデッキを止める術がほぼ無い事です(得点カードを購入する事にデメリットがないので)。販売網を確率するまでの手順の煩雑さを、得点可能になってからのスピード感で埋め合わせる意図があるのでしょうか。また、デッキビルドは2人用と思っている方は結構居ると思うので、商品購入の種類におけるバッティングが皆無なのは寂しいと思いました。色々と市場に影響を与えるようなカードもあるのですが、一度得点カードを取る領域に入ったプレイヤーのプレイは早いので邪魔している暇は殆ど無いし、前述の通り、バッティングが希薄な場合があるので直ぐに避けられてしまいますね。肝心な商品購入に関するシステムに、改善の余地を残しているのではないでしょうか。

随所に散りばめられた、作者のセンスが見えないこともないのですが、システムの根幹と重要なカードの効果がドミニオンにかなり近いため、作者の力量をこの作品だけで測ることは難しいです。ドミニオンのシステム自体が素晴らし過ぎますね。

とは言え、高い意識を持って、丁寧に造られていることには間違いありません。まだお若い方ですし、作者の次回作とこの先の活躍に、大いに期待しています。

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ジャンケン5カードゲーム

日本人のソウルを刺激するカードゲーム

 2011年のゲームマーケット(秋)で発表された、「ツクルカ」の大山氏・大石氏によるオムニバスカードゲーム。これ1つで5つのトリックテイキングライクなゲームを楽しむ事が出来ます。

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 オビ湾氏のブログで紹介されているのを目にして、ゲームマーケット開会と同時に一目散に買い求めに走りました(笑)。朝から開場の列に並び、バネストを横目に見ながら。

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 このゲームでは、1人用の「ソリティア」、2人用の「センゲン」、3〜4人用の「スパイラル」、4人用の「トリックス」、4〜5人用の「アイコ」をプレイすることができます。

 綺麗な版画絵のグーチョキパーのカードに、1〜36までの数字が振られています。ゲーム中、カードの構成を参照できるように、「ボトルインプ」のようなカード構成表が付属しています。

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 幾つかのゲームの中で、管理人が最も気に入っているのは2人用の「センゲン」。お互いに同枚数ずつの山札を持ち、相手の手札を確認してから行うジャンケンゲーム。親が出す手を宣言してから子が出すカードを選びます。現在のカードとこの先のカード、これらを考慮しながら如何に相手の宣言を見破りつつ多く勝つかを競います。

 管理人は、ゲーム知らない人にゲームを説明するときに、ただのジャンケンでも出す前に手を宣言したら、途端に心理戦になることを引用することが多いのですが、これは更にその上をいくゲーム。

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 その他のゲームもどれも面白く、とても同人ゲームとは思えないクオリティを誇っているゲームです。

総評

 日本人にとって、ジャンケンというのは知らない人がいない程に生活にとけ込んだゲームです。ジャンケンに関しては、その勝ち負けを右脳で処理していると言い切っても過言ではありません。見ただけで瞬時に勝ち負けがわかります。これが舶来もののカードゲームであれば、歩兵は弓兵に勝り、騎馬兵は弓兵に勝る…的なやぼったいものが選択されがちです。そんな中、ジャンケンほど日本人の心にガツンと来て、説明の要らないゲームはないでしょう。そして、否応無い説得力も兼ね備えています。ジャンケンで負ければ、犯罪でなければ大概のことをやらなくてはならないというあの刷り込みです。トリックを取られるなんて当然ですね。

 このカードゲームに採用されたルールは、どれもジャンケンのシステムを根幹に置いています。そのせいで、なんの違和感も無く、すんなりとルールが入ってきます。そして、馴染みのジャンケンを軸にして、トリックテイキングの世界をタップリと楽しむことができます。

 「緑は嫉妬、青は悲しみ」なんていう文化を理解しにくいのと一緒で、他国では通用しにくい面白さなのかもしれませんが、これをテーマに選んだデザイナーには非凡なセンスを感じます。同人ゲームを思いっきり見直しました。ジャンケンがこれほど浸透しているのは日本以外には少ないと思われるのが残念です。

 もうすぐゲームマーケット2012(春)が開催されます。その前に、是非紹介したいと思っていたゲームでした。今でも、ゲームマーケット2011(秋)は、このゲームを買えただけでも行った価値があったと思っています。次のゲームマーケットでもブースを出展されるようです。もしもジャンケン5カードゲームが販売されていたら、保存用にもう1つ購入することを宣言します!

ツクルカ:ホームページへのリンク


ダズル

期待を美しく裏切るゲーム

 「賽苑」というビジュアル系レビューサイトから生み出された、ちょっと不思議なカードゲームです。

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 同人ゲームとは思えない程のハイクオリティなコンポーネントが目を引きます。箱はボール紙ですが、内容物の収納を考えた独自の造りとなっています。

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色鮮やかに彩色されたシンボル

 ゲームでは、配られたカードを使って4つのシンボルを奪い合います。このシンボルは(純潔/暁/螺旋/信仰)を表しているそうですが、そんなバックグラウンドに恥じない見た目を兼ね備えていると思います。
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 使用するカードは、4つのシンボルに対応した4スートのカード。数字は1〜3が描かれています。数字は裏面にも書かれていますので、これを利用して各自の受け取るカードの数字が同じになるように調節したらゲームスタート。

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 ゲームでは、相手と手札を2枚ずつ交換し、一枚を自分のパワーカードに、もう一枚を得点としてシンボルの下に入れていきます。基本的に行うのはこれだけで、カード最後まで配置したらパワーカードの合計値に応じてシンボルの帰属を決定します。獲得したシンボルの下にあるカードの合計値を得点とします。

 非常にシンプルなルールですが、コンポーネントの見た目と相まって、傑出した世界観を演出します。

総評

 自分の運命を悟られないように相手の運命を決める…そんな不思議な感覚に満ちたゲームです。「自分の手札は相手に配置してもらい、ただその順番のみを制御することが出来る」というアイデアは中々面白いと思いました。序盤に強いカードを渡せばそれをパワーカードとしてくるだろうし、終盤で渡せば自分に有利なシンボルの得点としてくるでしょう。このジレンマと、実はそれ程持っていないスートのカードを沢山持っているように見せるブラフなどを楽しむゲームのようです。ただし、配置は全て相手任せとなるので、それは最善になるように配置してきます。必然的に勝負は拮抗し、勝ち方が判らないというプレイヤーも多そうです。従って、ゲームとして面白いかと聞かれると、不思議なゲームだよという的外れな答えしか返せません。世界観を大事にするために、極限までルールをシンプルにしたデザインなので、雰囲気を楽しむのがメインかな。
ある理由から相手に判断を委ねるゲームを紹介したかったということで。

ゴーストップ

国産最高峰ゲーム!
(chikipage調べ)

 B2Fゲームズから発売されている、純国産品。知る人ぞ知るバッティング系のカードゲームです。

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 包装は簡易。外箱はありません。綺麗な外箱も嬉しいですが、ナシならナシでかさ張らず、値段も抑えられるのでアリだと思います。国産ゲームの相場は良く知りませんが、カードは中々高品質なものを使用しているようです。

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 各自には、6枚のカードが配られます。ESPカードみたいなマークが描かれていますが、残念ながら図柄はプレイヤーを判別するためだけのものです。1枚がSTOPカード、残りの5枚はGOカードとなっています。
 手札とは別に、山札が用意されています。山札に含まれるのは1〜10の数字が書かれた10枚のカードです。



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 よくきった山札から1毎ずつのカードを表向けていき、各自が秘密裏にカードをプレイします。

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 これが5枚に達したら、古いカードから順番に各自のカードを表向けていきます。この時、単独でSTOPカードをプレイしているプレイヤーが居た場合には、そのカードを獲得します。バッティングしていた場合はプレイしていたカードは手札に戻し、6枚目の山札をめくります。カードを獲得したプレイヤーがいれば、その他のカードも全て表向けてカードの獲得を判定します。
 こうして、最も大きい数字を3回獲得したプレイヤーが勝利。ただし、10は1に負けてしまうので注意必要です!
(次の写真のラウンドの勝ち数字は7です。10はバッティングしているので誰も獲得できません。)



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総評

 このゲームはTBGLゲーム会に参加して下さっているちきさんのお気に入りらしいです(持ち込みありがとうございます)。数回のゲーム会に渡って「国産最高峰ゲーム!」と聞いていたので、リクエストしてプレイさせてもらいました。
 ゲームは単純なバッティングゲームですが、強いカードがこの先でてくるかどうかわからない状態でのチキンレース。涼しい顔してSTOPカードを出すブラフ的な要素も盛り込んで、中々面白いゲームです。ルールがシンプルなので、重いゲームの合間にやるのにもいいですね。
 心の中ではこのゲームのことを「キャタピラゲーム」と呼んでいます。カードを獲得するプレイヤーが現れない限りは6枚目、7枚目…とめくっていくのでゲームがキャタピラのように移動していきます。その度にカードをずらすのは面倒なので、これはもうこういうものだと思って貴族が食事する長テーブルで楽しむのが吉!

Amazonへのリンク


薮の中

物議をかもした作者の2作目

 これはゲームなのか?と物議をかもした「ストレイシーフ」に続き、オインクゲームズが発表したゲーム「薮の中」
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 ゲーム自体は数字タイルを使用した推理ゲームの様相。独自のグッドデザイン賞的なデザインで普段ゲームをしないヒトにも勧め易い印象があります。
 オインクゲームズは非常にマーケティングがうまい反面、その手法から炎上マーケティング等と揶揄されることもある話題の豊富なメーカーですね。
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 こちらが、登場人物のタイル。
基本的には大きな数字の容疑者が犯人。


 これを裏返して写真の様に並べ、倒れているのを被害者、それ以外の3つを容疑者とします。容疑者の中から2枚を秘密裏に確認し、犯人を当てる事が目的。
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 まずは殺害現場を作成し、残りの4枚のタイルのうち各自2枚ずつ中身を確認します。

 次に、スタPは3枚の容疑者のうち、好きな2枚を確認し、犯人だと思うタイルに自分の推理マーカーを置きます。確認しなかったタイルには目印を置き、望むならば死体と容疑者を入れ替えて次のプレイヤーの手番へ。次のプレイヤーからは、直前に推理マーカーを置かれたタイル以外の2枚の容疑者を確認し、自分の推理マーカーを置いて行きます。

 犯人は、3枚の容疑者のうち、一番数の大きなタイル。ただし、3枚の中に「5」が含まれていた場合には立場が逆転し、一番小さなタイルが犯人となります。尚、白いタイルはいつも潔白です。


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 全員が推理マーカーを置き終わったら犯人を確認し、予想が当たったプレイヤーの推理マーカーは手元に戻されます。一方、予想を外したプレイヤーにはペナルティ。濡れ衣の山の一番上のプレイヤーは、マーカーを裏向きにして獲得させられます。

 裏向きのマーカーが溜まるか、自分のマーカーが枯渇してしまうと敗北となってしまいます。

総評

 最初に目撃できる2枚のタイルと、自分の手番で目撃できる2枚のタイルに「白タイル」か「5」があるかどうかが勝負の分かれ目。これらの情報を元に、確率でマーカーを置くことになります。この確率が、50:50に近いと当てずっぽうでマーカーを置くだけになってしまいがち。また、直前のヒトがマーカーを置いたタイルを目撃する事はできないので、手番に選択の余地が無い。そのため、ブラフもかけずらい。プレイ中、手が滑って容疑者をオープンにしてしまった瞬間が一番盛り上がったゲームでした。センスのある見た目だと思いますが、私はあまり魅かれませんでした。

賛否両論のゲーム。是非自分でプレイしてその真偽を確かめてみて下さい!