1969.jpg23-Nov-2012 ボードゲーム レビュー


1969

作者:Aureliano Buonfino et.al.
2−6人用
対象年齢:13歳以上

13歳以上でなければ耐えられない宇宙感!

宇宙では、どんなゲームに遭遇しても誰も助けてくれない

宇宙開発費用を仕分けしたくなるゲーム。

PB038354.jpg見た目は結構良い。個人ボードも大きくてはえる。1960年代、JFケネディの有名な初当選演説を皮切りに、宇宙開発競争が勃発した。このゲームは、世界各地で競うように行われた宇宙開発をテーマとしたゲーム。「ダンジョンファイター」「ホースフィーバー」など、スマッシュヒットを連打した出版社からの宇宙もの発売とあって、事前はそれなりに期待されていたが、実態は…果たして。

ゲームではアメリカ、ソ連、ドイツ、フランス、カナダの何れかの国を担当することになる。ゲームは7ラウンドで構成され、各ラウンドでは収入・購入・ミッションをそれぞれ手番順に行っていく。

収入で資金を獲得し、ミッションの正否に影響を与える諜報カードとテクノロジー開発に従事させる科学者を雇い、ゲーム中に各プレイヤーが1度ずつしかチャレンジできないミッションの試行を行って、その正否により勝利点を獲得する。7ラウンド中には、(大抵、テクノロジーの充実した最終ラウンドに集中するが)月へのアプローチを狙う月面ミッションでの大量得点も必須だ。

宇宙開発と言えば米国とソ連、それ以外の国の選択基準がよくわかりません。エッセン会場とそのお隣を意識したのか。カナダって宇宙開発してたの?

収入フェイズ

PB038354-2.jpgラウンドマーカーを進め、その年の収入を仲良く受け取る。まずは資金の収入フェイズ。ここでは各人に一定の資金が配分される。その後、勝利点を支払ってさらなる資金を獲得することができる。

勝利点の支払いを我慢して他人と差をつけたいところだが、序盤の資金はカツカツなので、全員がフルに勝利点を支払って同額の資金を得る展開となるようだ。

そもそも、毎ラウンドほぼ資金を使い切るので、決まった資金を配るのが結構面倒くさい。宇宙開発とは、こうも面倒くさいものなのか。

このゲームはとにかく他人と違うことがやりにくい。資金については、序盤はカツカツだけど後半は金などどうでも良くなる。なぜなら買うものが無くなるから。せめて勝利点を買えると良かった。


ギスギス 購入フェイズ

1969-2.jpg数種類の科学者が用意されている。有名科学者のイラストにはアインシュタインの姿が。次は購入のフェイズ。ゲームを通してここが一番重要。ルールの概要を聞くと、最も面白そうと思えるのもこの部分。

このフェイズでは、手番順に諜報カードと科学者(スパイ含)を”好きなだけ”購入できる。諜報カードは自分もしくは他人のミッションの正否に影響を与えることができ、科学者は個人ボードに配置することによって、ミッションダイスの目を変更したり、諜報カードを手に入れることができたり、ミッションの成功率を高めたりと色々なことができる。ただし、一度配置した科学者の再配置は不可能なので注意が必要。

科学者には複数の種類があり、それぞれ配置時の効力が異なる。安価だがゲーム終了時にマイナス点となる新米科学者や、高価だが二人分の効力をもつ天才科学者などだ。

1969-1.jpg購入した科学者は個人ボードのテクノロジーに配置する。どこに置くのもコストは変わらない。しかし、最も重要かつ極悪なのはスパイ。この駒のみは、他人のボードに配置する。すると他人はそこに科学者を配置できなくなり、しかもゲーム終了時にマイナス点。自分はスパイ配置によるボーナス科学者を配置できるという破格の効果。

各研究者には総数に上限があるため、ゲーム開始当初からスパイに興味が集中するのは必然。そう、ゲーム開始当初の何の脈絡もない時点からいきなり、他人の陣営からスパイが送られてくるわけだ。

なんたるギスギス感。このゲームは宇宙開発競争のギスギス感を忠実に再現しているのだ。おかげで、オープンなゲーム会等では、核のスイッチに手を置きかねない緊張感が場を支配することだろう。しかし、安易に言葉の核弾頭を打ち込んではいけない。きっと面白いはず。そう最後まで信じよう。宇宙は未知の世界なのだから。

とにかく、このゲームはスパイ駒が無くなってからが本当のスタート。スパイ駒が無くなった瞬間おもむろに、スマホに用意した「Welcome to FF world」を鳴らすべし。感動的。


いざ、宇宙へ

1969-3.jpgそびえ立つロケット駒。手番終了時にどけるのが切ない。続いてこのゲームの華。ミッションへのチャレンジ。チャレンジするミッションを選択し、お行儀よくチャレンジ料金を支払う。その後で、そのミッションに対応するテクノロジー分だけロケットを進める。そして、ダイスを5つ振って成功数をカウント。最後に諜報カードで補正を行い、最終的な勝利点を決定する。諜報カードは、自分以外のプレイヤーが相談して妨害分を提出し、それを見る前に自分のカードを出す。諜報カードには1~3までの値があり、ミッションの難易度に応じてその効果も増減する。

諜報カードの効果は非常に大きく、スパイが売り切れた後はカードの購入に熱視線が注がれる。しかし、このカードも枚数は有限。手札枚数は無限。そして導きだされる顛末は、手番順のあやによるカードの偏り。気づいた時には、もう遅い。二度とカードを手にする事は出来ないのだ。

1969-4.jpg月を周回して地球に戻るミッション。マスが多いだけで基本のミッションと同じ。月面ミッションも、カードを大量に保持しているものが成功を納める。ゲームの勝敗を左右するほどの勝利点が与えられるわけだが、買い占められたカードを取り戻す手段はない。

こうして7ラウンドを消化し、最終的に得点の高いプレイヤーが勝利する事になる。詳しいルールは和訳を参照されたい。

各ミッションの違いは、プラス要素として反映できるテクノロジーの組み合わせの違い。誰かが先にチャレンジしていると、獲得点数は下がる。でも大丈夫、そんなことどうでも良くなるから。



物珍しさで2回稼動

DSC_0468.jpg2回遊んだから元とったかな。自分は和訳を作成した手前、断固輸入。しかし、懸命な人々はルールを読んだ段階で回避の選択をしたらしい。

お陰でゲームマーケット前に日本に入ってきた数はごくわずかであったようだ。そのため、方々からお呼びがかかり、2回稼動するにいたった。写真は二回目の様子。

鳴り物入りでルール説明。

蜂蜜の国カナダを選択するオビ湾氏に1人東側のソ連で真面目に宇宙開発するタムラさん。案の定、皆の資金はスパイに流れ、序盤は自分で置いた研究者よりも置かれたスパイのほうが多いという(どんな職場だよ!)。

その後、スパイは枯れ、使える色付き研究者も枯れ、カードも特定のプレイヤーが大量に保持する状態が完成し、5〜6ラウンドで完全にタレル。静寂の中、たまにプレイされるカードに合わせて「蜂蜜の国をなめるなよ!」などと秀逸な台詞が響く。それにしても、自分の手番が飛ばされそうになってもエナジーが湧いてこない。

それでも最後まで完走し、1人月面ミッションを完遂したタムラさんの勝利。得点はうっすらとしか覚えてない…

オススメ度:★★★

駄作。

色々とシステムがぶっ壊れています。中でも、無限に購入できるというルールがあるにもかかわらず手札上限が無いというのが一番の難点。また、スパイの酷さが際立ち、無意味に攻撃的な展開となるのも駄目な点。

ではこの2点を直せばマシなゲームになるかというと、そうでもなさそう。近年稀に見る程のシステム破城に覆い隠されているけれど、その他の部分にも色々と問題があります。

例えば、複数用意されているミッションやテクノロジー。科学者を何処に置いてもコストは同じであるし、ミッションについても殆ど違いがない。資金の供給にも個人差が生まれにくいし、非常にのっぺりしたゲームであると感じます。他人との絡みもどうでもいい感じだし、テーマが宇宙である必要もありませんし。

この出版社にまともな編集者が存在しているとは考えづらい出来です。

たまにこういうのが混じっている事自体は楽しい事ですけどね!