carrara.jpg03-Apr-2013 ボードゲーム レビュー


カッラーラの宮殿

作者Michael Kiesling & Wolfgang Kramer
2−4人用
対象年齢:10歳以上

2013年KDJ候補No1の正当派ユーロ

近年珍しい、ガードレールの装備されていない大人のゲーム

carrara10.jpgメインボードと個人ボード1999年「ティカル」と2000年「トーレス」で連続してSDJをさらったクラマーとキースリングコンビの新作です。資材を購入して自分の個人ボード上の6つの街に建物を建て、決算によってその価値分のお金や勝利点を得るというオーソドックスな内容。メインのシステムには、キースリングお得意の円状のギミックを採用し、「ヴァイキング」からの流れを感じさせます。

このゲームの特徴は、まず”上級ルール”が明確に区分けされ、初級ルールを数回プレイしてから採用するようにとわざわざ封筒に封印されているところです。見出しにガードレールの無い大人のゲームと書きましたが、恐らく作者らもゲーム根幹の理解が最低限必要であることを大きく認識していたのでしょう。実際には、ゲーム慣れしているメンバーであればいきなり拡張を採用して遊ぶ事が可能ですが、真の面白みをすぐに認識することは簡単ではないと思います。

手番で出来る事は「資材の購入」「建物の建築」「決算」の3択と結構シンプル。建物が全て建設されるか、毎ゲーム変化する(上級ルールでは)終了条件を満たしたプレイヤーが終了を宣言するとゲームが終了し、その時点で最高得点のプレイヤーが勝利します。


自由度を履き違えると谷底に真っ逆さま:決算計画の重要性

carrara03.jpg一番左ほど高価な資源が必要になるこのゲームでは、獲得した資材で建物を建てていくわけですが、建てる場所は個人ボードのいずれかの場所、ある程度任意の場所に建てる事が出来ます。ある程度任意とは、「獲得した資材の色によって生まれる制限を除けば好きなところに」という意味です。建物のタイルは9枚表向けられており、そのうちの1枚から選択します。書かれている数の資材を何色の資材でまかなってもかまいませんが、使用した一番低価格な資材の色によって場所が制限されてしまうわけです。

大事なのは、街によって決算で得られる収入の種類が決まっていること。すなわち、勝利点かお金かのどちらが得られるかが、建てる場所によって決まってしまうわけです。資材を獲得するには当然お金が必要なわけで、建物をお金の得られる街に建てたいところですが、そうすると勝利点は全く得られません。反対に、勝利点を得られる街に建てていけば勝利点をかせぐことができますが、収入は全く得られなくなるので危険です。このバランスをとることが楽しいわけですが、決算は個人ボードで各建物の種類につき1回ずつ、メインボードで各街につき早い者勝ちで1回ずつしかできません。決算の目論見が外れると、その後ずっとしゃがむことにもなりかねません。

メインボードの決算は早い者勝ちですが、それぞれの街には決算するための最低建物建設数が設定されています。決算を効率よく行うために、沢山の建物を建設しておきたいところなのですが、他プレイヤーによる街への建物建設が決算へ強烈なプレッシャーをかけてきます。また、決算によって各建物は種類に応じた報償駒を生み出します。これらは最後に得点となりますが、こちらも早い者勝ちなので決算は計画的に。


主たるギミックは、円状の資材市場

carrara02.jpg資源市場の円盤は、良く回る工夫がされていて心地よい資材獲得は、メインボードに配置された円状の資材市場で行います。円の周りにはそれぞれの色の資材の値段がしめされており、円盤が回転するに従って資材の値段が安くなっていきます。

資材を購入するには、まず最初に円盤を1目盛り回転させ、一番高額なマスに全体の合計が11個となるように資材をランダムに補充します。その後で購入するマスを決め、そこから好きなだけ資材を購入します。円盤が回転するに従い、高額な色の資材も次第に安くなっていき、無料になる資材もでてきます。調子にのって買いすぎると、その後どうにもならなくなる危険があるので注意が必要です。

上級ルールその1では、資材の購入時に円盤をまわすかどうか、プレイヤーが選択することができます。これにより、資材の値段を調整し、次のプレイヤーにプレッシャーをかけることができます。

上級ルールは選択性で、好きなルールを採用して遊ぶ事が出来ますが、このルールだけは入れた方が面白いと思います。身銭を切って場全体を絞るという言わば「間接攻撃」は、アメゲーのそれと違ってとても清々しい緊張感をゲームに提供してくれますね。



選択ルールその2:ゲーム終了条件と最終得点計算の変更

carrara01.jpg終了条件(上三段のカード)次第で基本の得点計算も変わるゲームの終了条件は、建物が全て建てられることの他に、3つある終了条件を全て満たしたプレイヤーが終了宣言をすることでも達成されます。基本ゲームでは、シンプルな3つの終了条件(決算回数、建物建設数、報償駒数)が設定されていますが、それぞれの条件がカードでランダムに設定できるようになっています。これにより、報償駒の収集にセットコレクション色が強くなったりとゲームに変化を与えることができます。

また、上級ゲームではさらにボーナス得点のカード(例えば、各街の建設数トップのプレイヤーにボーナス勝利点など)が追加され、単に決算によって得られる勝利点を得るだけでは勝てなくなります。



選択ルールその3:価値8の建物と決算強化タイル

carrara05.jpgマニュアルの記載が少し分かり辛いが、左が手札の枚数、右が渡す枚数3つ目の選択ルールでは個人ボードを裏面にし、建物の背景色(2色ある)による決算を可能にする他、価値8の建物がいつでも建てられる状態となります。価値8の建物を建設すると、各街の決算効果を倍にする決算強化タイル1つを得る事ができ、さらに多彩な戦略を取る事が出来るようになります。こちらのルールは、決算を多彩にすることができるようになるため、ルールは複雑になりますが、ゲームの難易度は下がるような気がします。

オススメ度:★★★★★★★★★☆(注)

2012年度のゲームはホントにヤバいですね。「ツォルキン」「キーフラワー」に続き、「カッラーラの宮殿」もおすすめゲームの1つです。単純な面白さとしては、どれも甲乙付けがたいので、遊ぶ時間や好みで選ぶと良いですね。

中でもカッラーラは、比較的シンプルなルールに実力と運を適度に盛り込むユーロゲームの基本を押さえ、巧みに1対多人数をチラチラと演出する華麗さも持っています。今のところ、2013KDJの第一候補としても良いのではないかと考えています(いつも当たりませんけど!)。

作者がわざわざ別封筒を用意していることからもわかる通り、先に基本ゲームを充分に理解しないとボーナス得点や決算強化タイルの効果でシステムの中心で回っている面白みのエッセンスに気づきにくいと思います。というか、管理人は選択ルールその2とその3を採用せず、円盤の回転選択のみを追加したルールが一番好きです。このルールだと、実にソリッドなカッラーラの面白さを体験できると思います。

選択ルールの2と3は、それぞれに少し大きめの振れ幅を秘めているので、組み合わせ次第ではゲームのバランスが悪くなってしまうことがあるのも気になりますね。なので、これらのルールは適度に組み合わせたほうが良いのではないかと思います。

今のところ欠点は、箱の大きさと全てのルールを追加すると大味になってしまう可能性を秘めていることくらいで、ゲームを重ねるごとに面白みを増してくるとても良いゲームだと思います。

注:正当派ユーロゲームと呼びながらも、ユーロゲームにつきものの安全装置が弱めです。また、全体が絞られるような展開には、プレイヤー全員がある程度ゲームの根幹を理解している必要があるように思います。そういった意味で、エキスパートゲームだと思います(つまり、いつもよりも人を選ぶ可能性があります)。