Citrus.jpg01-Feb-2014 ボードゲーム レビュー


シトラス

作者:Jeffrey D. Allers
2−5人用
対象年齢:10歳以上

懐かしの燻し銀ユーロゲーム

単純なジレンマとパズロジカルな勝利への一本道、畑…始めました。

Citrus-8.jpg色とりどりの農地タイルはプレイヤーカラーではありません。2013年のエッセン発表作。DLPゲームズのシトラスは、荒野に自分の農地を開拓して行くゲーム。このメーカーは地味ながら良いゲームを作ることで評判でした。手番でやることは単純で、農地タイルを購入して配置するか、もしくは自分の農地を得点化するかの2択のみ。農地タイルの購入に少しヒネリを加え、お金を得点システムにうまく簡略化して組み込んだことによって、非常にロジカル(論理的)で悩ましくそして手軽なゲームに仕上がっています。昔はこういうゲームが年間大賞にノミネートされていたハズです。えらく時代が流れました。そりゃあドラえもんの声も一新されるってもんです。ボードは両面仕様で人数とプレイ時間調節で選択できるようになってます。5人まで楽しめるというのも素晴らしい。


農地売り場:ゲーマーは黙って一直線、異論は認めない

Citrus-1.jpg積まれているのは決算の建物(農場)タイル。このゲームを遊び始めて誰もがホホウと思うであろう農地売り場。四国のように並べたタイルは、どの方向からでも一直線に並んでいるものを全て買わなければいけません。誰かが購入した後は歯抜けとなる場所もありますが、とにかく一直線。全てが埋まっている状態であれば、2枚/3枚/4枚購入の選択肢があることになります。タイルの値段は1枚1金。ビタ一文まかりません。そして重要なのが、”買ったタイルは全てボードに置かなければならない”という点です。目を皿の様にしてボードと市場を見比べて、無駄のない購入チャンスを探すわけです。

農地売り場は残りのタイルが3枚以下になった時に補充されます。この時同時に決算対象となる農場のタイルがボードに配置されます。農場の配置場所は、タイルを3枚以下にしたプレイヤーが選択します。こういうルールの細かい絡みのベクトルが同じ方向を向いていて心地いいです。


購入した農地は農場の周りに配置する

Citrus-3.jpg人型の駒は名作「オレゴン」と同じ購入した農地は農場の周りに配置します。この時、自分の駒を1つ置いて自分の農地であることを示します。同じ色の農地タイルはどんどん繋げて自分の農地を大きくしていくことができます。ただし、他人が所有する同じ色の農地と繋げることは出来ません。農場からは4本の道が延びており、ここにはそれぞれ違う色の農地を置かなければなりません。この2つの制限のお陰で、ゲームが進むとどんどん農地を置く制限がキツくなっていきます。誰かが得点を得るために駒を回収した農地は中立となり、自分の農地が中立以上の大きさの農地であれば吸収合併することができます。

吸収合併のルールはQin(秦)のルールに似ています。クニチーが左手だけで作ったゲームを丁寧にディベロップするとこう化けるという好例ですね。



農地で囲まれた農場を決算

Citrus-5.jpg決算の済んだ農場タイルは裏向けて配置する。タイルの色に制限があるのは農場から出る4方向の道上だけですが、農場の周り8マスが全て農地タイルで埋まると決算が行われます。取り巻いている8マスに繋がる農地の所有者に帰属する農地のマス数を全て合計し、最多農地保有者が大きい得点を、2位が小さい得点を得ます。ゲーム中ではこの農場からの得点が一番大きなウェイトを占めるので、狙った農場の決算が終わるまではなんとか自分の農場を維持したいところですが、農場の維持=金欠なので絶えず洗面器に顔を浸けているような我慢ゲーなのです。

得点は農場の決算による得点と、収入を得るために人駒を回収した時にそのタイルの枚数に応じて得られる得点があります。



収入は農地と引き換え

Citrus-6.jpgドーナツみたいなタイルで所持金を記録します。収入と人駒は個人ボードで管理します。タイルの購入&配置をする代わりに、ボードから最低1つの駒を引き揚げることによって収入を得ることが出来ます。沢山の駒を引き揚げると高い収入を得ることが出来ますが、それはイコール沢山の農地を手放すということを意味します。すると、農場の決算で不利になることは請け合い。ゲームの最後まで、ギリギリのお金でギリギリのタイルを購入し、決算までひたすら農地を維持するプレイが続くことでしょう。

オススメ度:★★★★★★★★☆☆

先に断っておくと、この間このゲームの話題をゲーム会でだしたところ、COQ以外でこのゲームを勧めている話はあまり聞いたことがないと言われてしまいました。上記評価は安心と信頼のあくまでも個人的見解ということでお願いします(w。

個人的には(しつこい?)受賞とまでは言い切りませんが、このゲームはSDJにノミネートされてもおかしくないと思います。確かに去年のSDJ受賞作の「花火」のような作品はゲームとしてはその発想と完成度にうならされるものですけど夢がないじゃないですか。こういう明るくてスッキリ楽しめるゲームが選ばれて欲しいなー、と。

さてこのゲーム、テーマも明るく現実離れしていなくてCOQ好み。そして、タイルの購入やちょっとパズル的なタイルの配置。お金と得点の連続的なジレンマ。いいじゃないですかー。新しい農場が現れるタイミングまでルールに上手に組み込まれており、ルールの繋がりがとってもロジカル。こういうパズロジカルなゲームかつ60分程度で楽しめるゲームは貴重です。5人まで遊べますしね。

難点は、タイルを配置することによって獲得できる特殊チップ。単に得点が書いてあるものから少しだけ有利にゲームを展開できるものまで様々。その中に1マス分農地を飛び越して農地を繋げる(異なる色のタイルを飛ばせる)ものがあるんですけど、これがちょっとルールが曖昧で蛇足かなーって思います。

その他、両面仕様でショートゲームが出来る様になっていたりと手抜きの無い良心的な作り。オススメです。

余談ですが、箱を開けると(多分初版のみ?)各色の駒が1つずつだけ別の袋に入っています。これには理由があります。非常っに不幸なことに、初回生産時に駒が1つ足りなかったらしいのです。エッセン会場でコレに気付いた作者は急遽駒を手配したのですが、追加の駒がエッセン会場で行方不明になり駒が届かなかったために結局、泣く泣く幾つかのゲームを開封し、駒を取り出して対応したらしいです。なんかしらの賞ででも報われるといいですねー。

 
シトラス
シトラス
価格:6,500円(税込)