Elgrande.jpg16-Apr-2011 ボードゲーム レビュー


エルグランデ

作者:Wolfgang Kramer, Richard Ulrich
2〜5人用
対象年齢:12歳以上

塔だ塔に飛び込むんだ!
  大公、俺達の事を絶対忘れないで下さい!


数有るドイツゲーム大賞受賞作の中でも依然傑作として名高い「エルグランデ」の紹介です。最近ではあまり見かけない程に箱のサイズも大きく、まさにキングオブドイツゲームの1つと言っても過言では無いでしょう。

作者はクラマー氏とウルリッヒ氏。
今では当たり前となったボード周囲の得点トラックを世に送り出した人物です(クラマーフレームと呼ばれています:ドイツゲームでしょう!より)。

プレイヤー達は大公となり、30人の騎士を従えてスペイン全土での影響力を競い合います。スペインの各地域に自分の騎士を巧みに派遣し、最も勝利点を獲得したプレイヤーが勝利します。

このゲームで特徴的なのが、なんと言っても「塔」の存在。
木製のパネル4枚を組み立てる仕様ですが、他に類を見ない程に立派なコンポーネントです。塔はゲーム中、配置された騎士の数がブラインドな領土として扱われます。決算の度に塔の中身をオープンする瞬間がたまりません。

そして、「秘密ディスク」。
秘密ディスクには各エリアの名称が書かれており、内緒で騎士を派遣するエリアを指定したりするのに使用します。各自が指定したエリアの情報を、一斉にオープンにするわけですね。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

さて、ゲーム開始時にプレイヤーは大公駒1個、騎士駒30個、パワーカード13枚と秘密ディスクを受け取ります。

大公駒は、自分のホームエリアを示す為の駒。ゲーム開始時にどこかのエリアにランダムで配置されます。

騎士駒は、手駒とストック駒に分かれており、自由に使えるのは手駒のみ。最初は7つが手駒となります。

手番では、アクションカードという「手番で出来るアクション」が書かれたカードをパワーカードを使って落札し、そのアクションを行っていきます。

パワーカードには、手駒から派遣できる騎士駒の数と、特殊なアクションが書かれています。特殊アクションが強力な程、派遣できる騎士駒の数は少なくなる様にバランスがとられているようです。

パワーカードには1~13の数字が描かれており、数字の大きなカードをプレイしたプレイヤーから、好きなパワーカードを選択していきます。一度使用したパワーカードは捨て札となるために、使いどころが肝心です。また、同じ数字のパワーカードをプレイする事は出来ないので、必ずアクションカードを獲得する順番が決定するようになっています。

そして、(ここが悩ましいところなのですが、)パワーカードは小さな数字のもの程、ストックから手駒に出来る騎士駒の数が増えます。折角、騎士を派遣できるパワーカードを獲得しても、手駒が無ければ話になりません。

さらに、パワーカードの数字が一番小さかったプレイヤーが次のラウンドのスタートプレイヤーとなるため、次のラウンドまで見据えてプレイする必要が有ります。

騎士の派遣にも一定のルールがあります。
エリアのうちの1つに「王様駒」が置かれているエリアがあります。ゲームを通して、王様のいるエリアは不可侵と決まっています。従って、騎士の派遣が行えるのは、王様のいるエリアに隣接しているエリア、もしくは塔の中ということになるのです。

ゲームは9ラウンドに渡って行われるのですが、3ラウンドごとに決算のタイミングが訪れます。
決算では、各エリアの騎士の総数の順位に応じて、3位のプレイヤーまで勝利点が与えられます。この時、塔も1つのエリアとして扱われます。

そして、ここがこのゲームの肝なのですが、塔の騎士達は塔の覇権を争った後に、スペイン本土エリアのどこかに一括で派遣されます。

実は決算は、秘密ディスクを使用して塔に投入された騎士を一括して派遣するエリアを全てのプレイヤーが決定した後に行われるのです。塔の騎士を正確に把握していれば、各エリアでの一発逆転も十分狙える訳ですね。自分だけではなく、他のプレイヤーが投入した騎士の数を忘れずに覚えておくことが勝利への近道です。

王様を動かしたり、特別に決算を行ったり、配置済みの騎士駒を配置換えしたりという様々なアクションを駆使して、合計9ラウンド、3回の決算を戦い抜き、最多勝利点の獲得を目指す、傑作陣取りゲームです。


tower.jpg
これが噂の塔。
投入された騎士の情報を完全に隔離します。

secretdisk.jpg
こちらは、エリアを指定する秘密ディスク。
秘密裏に目的地を選択します。

kingporn.jpg
王様駒。王様の居るエリアは不可侵!

roundtrack.jpg
ラウンドの進行は完全にアイコン化されている。
マーカーを進めていけば良い親切仕様。

score.jpg
各エリアの点数。
騎士数の多いプレイヤー上位3名が得点できる。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

自宅にて、JJカジナカヒロシと5人プレイ。
今までスペースの関係で5人プレイは敬遠していたが、ゲームテーブルの導入でついに決行!
個人的には3〜4人プレイとのプレイ感の違いも気になるところ。

Elgrande-1.jpg
まずは、エリアが書かれたカードをランダムにひいて王様と各プレイヤーのホームエリアを決定。
ホームエリアには大公駒が置かれ、ホームプレイヤーが得点計算時1位になると2点のボーナスが貰える。

王様がど真ん中のエリアに陣取ったため、エリアは可もなく不可もなく。
自国がスペインの端で、しかも囲まれる形となったナカが少し不利かな?

Elgrande-2.jpg
初手は様子見で、パワーカード「9」をプレイ。
ストックから騎士を2人補充して、「騎士数の最も多いエリアを得点計算:騎士3人派遣」を選択。

当然、自国に3人全てを派遣して得点計算をする。

Elgrande-3.jpg
第1ラウンドから早速得点を得るCOQ
スタートダッシュ!

…のはずが、この行動がこれ以降のCOQの運命を決定付ける事になる。

カジ「やっぱり倒すべきはアノ人しかいませんね」

出来心のたった7点が連合軍の結成を促してしまう。
勝負事って差し足を活かせるタイプのほうが有利だよなぁ…

Elgrande-4.jpg
ゲーム中は毎ラウンド騎士派遣数1〜5のカードが1枚ずつ場に出る。
強力な特殊アクションを持つカードは騎士派遣数が少ない傾向にあるようだ。
カードは余分に用意されているので、1回のゲームで全てカードを拝むことはできない。

「任意の領土の騎士を5個まで移動する」とかいう左遷カード能力等はかなり強大。

選択したプレイヤーは自分の有利に働く様に騎士を移動させたりする。
そして舌戦も繰り広げられる。如何に自分にも有利になるようにプレイさせるか。

カジ「やっぱりCOQさんの邪魔じゃない?」

カジの村の長老のような統率力で序盤は皆がCOQをやり玉に。

将来、宝くじに当選したらカジの家の周りをドーナツ状に購入して通行料をとってやることにしてグッと我慢。

Elgrande-5.jpg
結局、集中砲火を受けたCOQの騎士はほとんど排除されてしまう。(ここまでやる?)
どうも「1位」とか「抜きん出てる」とかのキーワードが許されないらしい。
流石日本のコテコテ内資系企業の生え抜きサラリーマン達、見事に気質を体現している。

こうなれば、各エリアで2〜3位を狙い目立たないように得点していくしかない。
騎士のはぎ取られてしまった自国へは塔から定期的に落下傘部隊を投入して奪還することにする。
バレない様に、静かに、静かに、、

オペレーション「ダンゴムシ」静かに開始。
それにしても勝てなさそうな作戦名だ。

Elgrande-6.jpg
静かに、各エリアで3位を目指すべく騎士を派遣していくCOQ
そうこうしている間に、スペイン中央部では他のプレイヤー達の騎士がカラフルに絡み合っている。
COQは人目をはばかるように塔へと騎士を投入していく。

Elgrande-7.jpg
そして、最初の決算。
秘密ディスクでは当然自分のホームエリアを指定する。

緊張しながら塔を開けてみると・・ 2位
3勝利点を獲得して全ての騎士をホームエリアへと送る。

無事、ホームエリアで1位の奪還に成功し、なんとか勝負の舞台へ舞い戻ることができた。

Elgrande-8.jpg
すかさず、1位の得点が「5」のエリア(COQのホームエリア)を得点計算するカードを選択して追加得点。

Elgrande-9.jpg
返す刀で「全員が秘密ディスクで得点計算するエリアを選択する、ただしバッティングした場合は無効」でさらに得点。

ニコニコしてカジとヒロシを交互に少し大げさに見る。

カジ「COQさん何か企んでいますね。。」
COQ「いやぁ、カジが変顔するから吹き出しただけだよ。」
カジ「えーと、それは自分の普段の顔のことですか…?」

いざ、オープンしてみると、カジとヒロシはバッティングを恐れて自分のホームエリアは選択できず。
COQは気にせず自分のホームエリアを選択して効率良く得点。

Elgrande-10.jpg
最初の決算が終わった直後の得点。
村ぐるみの嫌がらせを受けた割には上位に着ける。
トップはヒロシ
どうやら、皆の目はヒロシに向いたようだ。

しかし、ここでスペインに転機が訪れる。

Elgrande-11.jpg
なんと、辺境の地の長であったナカが、自分の領土の得点を「8点」にしたのだ。
今まで、辺境が故に軽視されていたスペインのチベットが一躍首都級の扱いに。

Elgrande-112.jpg
そして、2回目の決算が訪れる。
COQの騎士は各地に散らばり、少しずつ得点する。
新たな注目の的となったナカのホームタウンにも抜け目無く1人の騎士を送り込んでいる。

Elgrande-13.jpg
塔の中の騎士達には、今回もホームエリアへの突入を促す。
ボーナスの「+2点」が結構大きいので無視できない。

さぁ、どうだ!

Elgrande-14.jpg
今回の塔には騎士が沢山。
みんな塔の効率の良さがわかって来たみたい。
プライマリーな目標は直接エリアに騎士を派遣するよりも、塔に投入したほうがお得なのだ。

Elgrande-15.jpg
ナカも全騎士をホームエリアに投入し、万全の体制を敷く。
この調子で得点されるとかなりヤバい。

Elgrande-17.jpg
2回目の決算が終わり、ヒロシにあと一歩と追いつくも、ナカの躍進が気になる。
JJとカジは既に圏外へと消えようとしている。

Elgrande-18.jpg
やはりナカは自分のエリアのみ得点計算をするような特殊アクションを巧みに使用してくる。
COQは散らばった騎士を排除されないようにするのに必死。
だれか止めてくれーー。

Elgrande-19.jpg
願いも空しく、ナカはどんどん加速していき、最後の決算を迎える。
後は、塔の中の騎士達に懸けるしかない!

そして、塔オープン!

Elgrande-20.jpg
…が、塔の中もナカの騎士が多数派。万事休す。

Elgrande-21.jpg
結局、遥か彼方まで得点していきました。
ホームエリアを高得点にした後、王様を巧みに利用して他のプレイヤーを寄せ付けなかったのが勝因。

舌戦と顔芸で一世を風靡したカジ村長は、スペインの海の藻屑となりました。

ナカ:113 COQ:93 ヒロシ:90 JJ:87 カジ:65

プレイ時間120分

後日、カジの好きな子を秘密ディスクで明らかにする企画が持ち上がったが、村長に却下された。

オススメ度:★★★★★★★★★★ 鉄板!!

まさに至福の時間。
大きな盤面に色とりどりに広がる騎士達が脳に与える心地よい刺激。
時にはブラフで相手を牽制し、必殺の策で局面を打開する。
自然と、平和協定が結ばれるようなエリアもある。
ミクロで見れば、各エリアの覇権を争うゲームだが、勝者となるにはもっと大きな局面で全体をコントロールしなければならない。
騎士の補充から、次のラウンドの手番までを決定するパワーカードのシステムが秀逸。
終わった後は本当に満足。お腹一杯。
カタンと並ぶ、ドイツゲームの傑作と言って良いと思います。
ドイツゲーム大賞受賞(1996年)も納得です。

私はほとんどゲームの拡張を購入しませんが、(未だプレイした事はないのですが…)このゲームの拡張だけは揃えてあります。
それぐらい面白いと思い、気に入っているゲームです。

ちなみに、拡張は「異端審問官と植民地」「王と参謀」です。
日本では手に入りにくいかもしれませんが、これらが全て入った記念版も発売されているようですね。
拡張をプラスすると、フランスやアメリカ、商船や異端審問官などさらに奥深い要素が追加されます。
こちらも楽しみですね。是非プレイしてレポートしたいと思います。

カードのアクションがカードを読んだだけではわかりにくいという欠点がありますが、日本語訳にはカードの詳細な効力も記載されているので安心です。
いきなり初心者に、というゲームではありませんが、ゲームの世界に足を踏み入れたからには一度は触ってみて欲しいゲームです。

最後にプレイ人数です。
3、4、5人でプレイしてみて、人数が増える程に面白いと感じました。
特に5人プレイではカードも余らないし、どのエリアでも他人と干渉するし、一時も気の抜けない戦いが楽しめます。2人プレイではプレイしたことが無いのですが、他のサイトの記事を見ると、2人でもそれなりにいけるようです。

これを書いていてまたプレイしたくなってきました!













Elgrande-113.jpg
「王と参謀」「異端審問官と植民地」
が入った拡張セット。






送料無料