Il_vecchio.jpg24-Dec-2012 ボードゲーム レビュー


イルヴェッキオ

作者:Rüdiger Dorn
2−4人用
対象年齢:10歳以上

ルネッサンスイタリアを舞台にしたセットコレクションゲーム

ルディガー・ドーンが、早くも新作をペガサスシュピーレからリリース

1.jpgボードの雰囲気はゴルトジーバー社の「胡椒袋」に似ているかな。美しい。「べガス(ラスベガス)」で2012年のSDJにノミネートされ、存在感をアピールしたルディガー・ドーンがノミネート後初めて発表した作品。いつもはラベンスバーガーと手を組む作者が、どうしてペガサスシュピーレからゲームを出しているのかは謎です。「イルベッキオ」というのは、イタリアのメディチ家当主のうちの1人のことです。ゲームでは、イルベッキオの権力が衰退する最中、その後釜となるべく奔走します。

具体的には、ボード上に書かれた都市に手下駒を派遣してリソースを集めます。そのリソースを組み合わせて、勝利点獲得スペースに早い者勝ちで手下駒を潜り込ませていきます。リソースを集めるには、手下駒が対応する都市に居なければならないので、お金を支払って手下を目的地まで移動させます。また、各都市でリソースを手に入れるには、仲買人駒が滞在していなくてはなりません。仲買人は、対応する都市をグルグル廻っているので、丁度仲買人が居る都市に飛び込みましょう。終盤になると、仲買人が居なくてもリソースを手に入れられるタイルもガンガンと飛び交うようになっていきます。ゲームの雰囲気は、ちょっと前にクイーンゲームズから発売された「EDO」にも少し似てますね。

ぐるぐる廻っている仲買人をつかまえるには、各地に手下を送り込んでいるのが吉。仲買人を増やすには、手番を消費してストックから駒を送り込む必要があります。このように、リソースを得るのに不可欠な手下駒ですが、勝利点を得るためには勝利点獲得スペースに送り込まなければなりません。この辺りのワーカー拡張〜収束の流れは流石ですね。


勝利点獲得スペースでのタイル選択が…

2.jpgボード3辺に配置された勝利点獲得スペース。リソースを集めたら、ボードの3辺に用意された勝利点獲得スペースに移動して、コストの安いマスから順に手下を置いていけます。次第にコストが高くなり、かつ勝利点が減っていくので、急がなくてはなりません。

また、手下駒を送り込むと、ボーナスとして特殊なアクションを1度だけ行えるタイルが貰えます。このタイルは全て確認することが可能で、その中から好きな物を1枚選びます。後になるほど、勝利点は低いは、ボーナスはしょぼくなるは、なわけです。それ程強いボーナスアクションは無いようですが。

説明書には一応「選んでいる間に次のプレイヤーが手番を実行することをオススメ」とあります。しかし、後半になるにつれて当然、勝利点獲得の行動を起こすプレイヤーが増えるわけです。その結果、ボーナスタイル選びの順番待ちも発生します。そもそも、どんなタイルを選ぶか見たいというプレイヤーも居ますし、ゲーム全体がもっさりしちゃったかも。


特殊能力や、条件式の勝利点獲得タイルもアリ〼

3.jpgこちらは、条件式の勝利点獲得タイル。5枚の中から秘密裏に選びます。その他に、リソースを支払って議会等に手下駒を送り込むことによって、「1回に登場させられる手下を1名から2名にアップグレードできる」など実行できるアクションを強力にするタイルや、「手下駒の人数×得点」などの条件が書かれたタイルを手に入れる事が出来ます。

各アクションを行っていくとカウンタが少しずつ上がっていき、その値が終了条件に達するとゲーム終了です。秘密裏に持っていた得点条件タイルを公開し、各自の得点を集計して最終得点を決めます。

通常のゲームだと、得点条件タイルが最初から配られていることが多いです。しかし、イルベッキオではアクション強化タイルが配られます。ゲーム短縮のための手段の1つでしょうが、タイルの内容次第ではゲンナリしてしまうかも。

実は、これらのタイルも5枚引いた中から好きな物を選び、残りを山の下に戻します。これも、待ち時間を生むんですよね…。


余談:裏面は草原!

5.jpg裏面は緑一色の草原。なぜだ!ボードのデザインは実に美しくて申し分ありません。しかし、なぜか裏面には各地域の色を排除した緑一色の”同じマップ”がわざわざ描かれています。どうして同じマップを違う色で描いたのかは明らかではありませんが、説明書ではどちらでも好きな方を使用して遊ぶ様に指示されています。緑の面のプレイアビリティは若干落ちる様に感じますので表がオススメ。

制作過程で意見がまっ二つになり、じゃあ両方付けようぜ!ってことになったという修羅場が発生したとか(TBGL書房館調べ)。

TBGLゲーム会にて

PC088438.jpgゲーム終了時の様子TBGL会にて3人プレイ。

初回の強化タイルで手下登場無双となった黄色い駒の海賊船さんが、ボード上を黄色く染める展開。イタリア全土がカレー好きの太っちょに蹂躙される前に、他のプレイヤーもなんとか優越感を感じられる強化タイルを求めて夜な夜な強化タイルの周りをうろつく。

強化一色となった展開のせいか、仲買人が居なくてもすむタイルが場に溢れ、タイルが足りなくなる程。その後は仲買人を殆ど無視し、次々とリソースを手に入れて得点を重ねて行く。

COQは…、強化番長からの脱却のタイミングを逃して勝敗には絡めず!

流:64 海賊船:58 COQ:46


プレイ時間:70分(3人)

2012/12/08

オススメ度:★★★★★★☆☆

ボードの美しさとその他コンポーネントの質は良いです。ゲームの面白さは可もなく不可もなくという程度の感想です(あくまでも個人的にね)。良くまとまっているけどグッとくる要素が薄い印象。

ピック&デリバーと早い者勝ちのセットコレクションが軸なので、単純で面白いは面白いのですが、どうしてもタイル選びのもっさり感がひっかかります。また、展開次第ではシステムの根幹である”仲買人”が意味をなさなくなってしまうのも良くないですね。

面白い部分としては、強化タイルで他人を圧倒するアクションを手に入れて優越感に浸れるところと、そこから得点獲得へシフトして手下駒の数マネージメントに四苦八苦するところですね。この辺は、純粋に面白いです。

ところで、強化タイルと得点条件タイルはどちらでも自由に選択して獲得できるのですが、実はゲームの本当に序盤だけ、強化タイルを獲得するのには余計にコストがかかります。そしてゲーム終了条件のカウンタが1つでも進むとこのコストは逆転し、得点条件タイルを獲得することのほうが高コストになります。

ゲーム説明のところで「一般的ゲームでは、得点条件のタイルが開始時に配られそうなものだ」と書きました。得点条件タイルのコストを序盤だけ安くしているということは、作者は序盤に得点条件タイルを獲得させようと意識しているように感じます。そんな中で開始時に配られるのが強化アクションのタイルだというのは、やっぱり少し不思議なルールに感じます。何度も元のルールブックを確認してしまいました。得点条件のタイルが途中で手に入るというのは、ゲームの見通しがボンヤリするのであまり好きではないです。

まぁ、王道のドイツゲームをプレイした充実感はありますけどね。
秀作の多い2012年エッセン発表作の中では霞み気味。