lancaster.jpg07-Jul-2011 ボードゲーム レビュー


ランカスター

作者:Matthias Cramer
2〜5人用
対象年齢:10歳以上

軽くも重くも変化するWPゲーム。
    しかし開封作業はもれなく重い。

2011SDJエキスパートゲーム賞ノミネート作品「ランカスター」の紹介です。
作者はアレアから発売された「グレンモア」で好評を得た、M. Cramer氏。

ランカスターは騎士駒の兵力を利用した変則ワーカープレイスメントシステムを採用したゲームで、
それぞれのプレイヤーに個人ボードまで用意するという豪華仕様です。
中でも騎士駒の出来は素晴らしく、メーカーの気合いを感じます。

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ゲームの目的は15世紀、イングランド各地の統治とフランス紛争解決での勝利点獲得。
のため、王を助け、名声を争う1勢力となります。

このゲームは5つのラウンドで構成されており、1ラウンドには以下のように3つのフェイズがあります。

1. 騎士の配置
2. 法律の採択と施行
3. 褒賞の分配

騎士の配置では、各自が自分の騎士駒をイングランド各地の州/自分の城/フランス紛争の何処かに配置していきます。スタートプレイヤーから始め、1つずつ駒を置いていくのは通常のワーカープレイスメントシステムと変わりませんが、ランカスターの騎士駒には兵力が設定されています。
この兵力には3つの役割が設定されており、このゲームの芯を形成しています。

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役割の1つ目は、イングランド各地の州への配置最低条件:各地の州に設定された最低兵力を見たしていないとそのマスを占拠する事ができません。

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2つ目は、フランス軍と戦うための兵力:配置した騎士駒の合計兵力がフランス軍を上回れば、紛争を解決した事になります。

そして3つ目は、イングランド各地での勢力争い:既に他のプレイヤーによって占拠されているマスでも、兵力を上回るような騎士駒を派遣すればそのプレイヤーにとって変わることができるのです。

こうして弾いたり弾かれたりしながら自分の騎士団をなんとか目的の場所に配置します。

騎士の配置が終わったら、今度はこのゲームのもう一つの芯である法律の採択と施行。

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上段に並んだ3つが現在の法律。
下段の3つはこれから採択する新しい法律。
新しい法律は、アグリコラのラウンドカードのようにある程度順番に並んでおり、各ラウンド3枚ずつ表向けられます。
これを順番に採択していき、半数以上の賛成が得られた場合には、現在の法律のうち一番古いものと交換されます。

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採択は、各自が持っている投票タイルによって行います。
法律の内容は、○○を持っているプレイヤーに勝利点、△△のプレイヤーに新たな騎士団等。
自分の得する法律を成立させて、暮らし易い世の中に。

法律の処理が終わったら、最後は楽しい報償タイム。

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イングランド各地の州に騎士を配置したプレイヤーは、
その地方の貴族を食客として自分の城に迎えるか、領地特有の報償を受け取るか、
お金を支払って、その両方を受け取るかを決定していきます。

貴族は、法律の投票時に発言権が増し、最終的な勝利点も叩きだす不可欠な存在です。

次に、自分の城に配置した騎士、もしくは建設済みの城パーツに対する報償を得ます。

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騎士を配置している場合には、そのラウンドのみ。
パーツを建築している場合は恒常的にその部分に示された報償を得る事ができます。

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最後はフランスとの紛争の解決。
ここに配置した騎士の兵力の合計値がフランスの兵力以上であれば、
フランス軍を打ち破ったこととなり、報償として勝利点を獲得します。

また、紛争には6回早い者勝ちで貰える王の恩恵(即時報酬)も用意されています。
1ラウンドで解決できなかった紛争は1段下に移動し、次のラウンドでも引き続き戦いが行われます。
それでも紛争を解決できなければ、ここに配置した騎士は捕虜となってしまうので注意。

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こちらはお金等のストック場所。
真ん中の白い駒は従者駒と呼ばれ、1度限りで騎士団の兵力を高めることができます。
ただし、フランスとの紛争には使用できません。

これらの報償を利用して、お城を建築したり、貴族を迎えたり、兵力を増強したり、とやりたいことは沢山あります。

こうして5ラウンドを戦い、最終勝利点(お城の建築、騎士団の兵力、貴族の数)を加算して、
最も勝利点を獲得したプレイヤーが勝利します。

兵力の差ではじき出された騎士は再びプレイヤーの手元に戻り、そのラウンド中に再利用されるので、
ビリヤードのような、先の展開を予測したプレイが求められる、変則ワーカープレイスメントゲームです。

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TBGL宮原ゲーム会にて、ちきさん流さんフォルテさん海賊船さんと5人プレイ(COQは赤)。
ゲーム会に持ち込む前日、コンポーネントの準備とルールの確認をしたのですが、コンポーネントの準備に小一時間かかりました。凄まじいコンポーネントの充実振り。

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ゲーム開始の準備をしたところ。
所持金と従者駒を隠すつい立てはお城の形をしている。
良くある折り曲げ式のものではなく、組み立て式のものなので、実にナイスなお城。
各地には、プレイ人数マイナス1枚の貴族タイルが配置されている。
勝利点は貴族タイルの枚数で飛躍的に伸びるので、なるべく多く集めなくては勝てない。

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開始時、城の建設を1枚だけ自由に行うことができる。
各自のボードの城の各パーツ建設予定地では、騎士を配置しても恩恵を受けられるが、
パーツを建設しておけば、報償の度に恒常的に恩恵を受けられるので、凄く有利。

この選択で、各プレイヤーはゲーム開始当初から若干方向性の違いを持ってスタートすることになる。

…が、従者駒を2つゲットするというパーツが人気。
5人中3人はこのパーツを建設してスタート。
かく言うCOQもこの一員。
寄らば大樹の影、一匹狼は実生活だけで十分だ。

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最初に配られる騎士は「兵力2」と「兵力1」の合計2つ。
残りの騎士達はストックに置かれている。
ストックの騎士達は、色々な報償で手元にやってきて使用可能となる。

つまり、騎士駒を持っている数だけ手番が増えるということだ。
騎士の兵力を上昇させる報償もあるが、まずは手数を増やす事を目標とすることにしてスタートした。

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そして最初の手番はフォルテさんから。
記念すべき第1手はイングランド中央の州への騎士配置。
ここの報償は、貴族タイルを1枚もらうか、城のパーツを建設すること。
3金を支払えば両方の報償を受け取る事が出来るが、ゲーム開始時の所持金は2金。
報償は、イングランドの州アルファベット順→自分の城→フランス紛争の順に解決されるので、Eの州の報償までにお金を増やしたいが…

続く海賊船さんはフランスの紛争に騎士を配置。
直ちに王の恩恵を受けて好きなところから貴族タイルを獲得する。

手番順はフォルテ海賊船ちきCOQ

「ワーカープレイスメントの割には最初の手番順による持ち金補正とかがないんだね、ブーブー」
COQ「まぁ、普通のと違って押し出し可能ですからね、先手は有利とは限りませんよ」

そう、このゲームはイングランドのある地域に騎士を配置するとスタPを動かせる。
しかし、自分がスタPになるわけではなくて、自分も含め好きなプレイヤーをスタPにできるという珍しいルール。
他人の動向を見極めてから行動できるのは中々大きい。

しかも序盤、全員の手数に比べて配置できるマスが多いうちはなおさら。
中々奥の深そうなゲームだ。

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全ては手数と読んで、COQは兵力1の騎士をストックから補充する州と、兵力を1増強する州へ駒を配置する。

皆思い思いの州へ駒を配置するが、序盤は駒の兵力が足りないために置けない州もある。
そんな中、フランス紛争への配置で王の恩恵を即座に受け、兵力2の騎士を3に増強したちきさんのプレイは上々。
兵力3の駒は初期手持ちに無いので、3以上でないと侵入できない州は独断場となるのだ。

また、フォルテさんもフランス紛争で王の恩恵を受け、金貨を3枚獲得した。
これで城に配置した駒が貴族と州の報償両方を獲得することが可能となり、これまたうまいプレイ。
しかも、フランスの紛争の解決は、同じ兵力同士なら下段が有利。
2重にうまいです。

(本来、5人プレイではフランスの紛争の一部を抜かなければいけないのですが、そのままプレイしています)

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騎士の配置が終わったら、法律の採択。
あえなく3つとも却下され、法律はスタート時のまま。

唯一金貨を獲得していたフォルテさんが金貨MAXとなり、兵力増強。
なんと、3重にうまいプレイでした。

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そのまま騎士駒の数を増やす事に成功する。

初手の配置図を見てわかる通り、5人プレイでもかなり空きマスがある。
手数があれば置き放題なのだ。
これは幸先がいい。

ところで流さん、スタPをいじれる州に駒を置いていた。

「じゃあ、スタPは変わらずフォルテさんで」
クスクス、アハハ

弾かれた駒が手元に返ってくること、従者駒は1回使い切りであることなどから、
やはり情勢を見極められるのはそれなりに有利のようだ。

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続くラウンドも、兵力1の騎士駒を1つ増やす事のできる州を重点的に攻める。

このラウンドの終了時辺り、誰かが言う。

「これは手数を増やすのが有利だなぁ」

きっと手数を増やす以外の勝ち方もあるけれど、
遅れて追随してもらうことは5ラウンドしかないこのゲームでは勝利への特急券。

なんて一瞬思ったCOQは黒いでしょうか。

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そして、他の追随を許さずに騎士駒を増やしていく。
…と同時に、城の建設と貴族の獲得も。

貴族は指数関数的に点数を増やすので、ある程度以下の枚数になってしまうとかなり勝つのが厳しそう。
貴族集めは上位争いにはマストと言えそう。
それ以外は、紛争を解決するもよし、城を建設するもよしと言ったところ。

その後、それぞれの活躍の場にあわせて法律を可決させ、勝利点に繋げるのが常勝の道。

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勝負は佳境へ。
皆が兵力4の騎士駒を獲得し、今まで不可侵だったエリアへ勝負をかける。
従者駒をフル投入し、Gの貴族を取りにいく流さん

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それを全力で阻止し、Gを乗っ取るフォルテさん
騎士駒は手元に戻ってくるが、流さんの従者駒は全てストックに戻ってしまう。
ゲーム序盤から貯めていた従者駒の勝負で負けるのは痛い。

それにしてもフォルテさん、隣りのH貴族(!)といい、貴族獲得に異常に執着している。
全従者駒を投入してくるとは、相当に自信のあるプレイだ。

どこぞの右手に異様な自信がある方のようなプレイ。
「立禁止?」

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フォルテさんのお城をよ〜く観察すると、このままでは貴族の獲得数がCOQより多くなることが判明。
これは阻止しなくては!

…と、Hな貴族の獲得を阻止すべく騎士を派遣する。

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そして、ラウンド5が終了。
最後の報償の分配をして、最終得点計算へ。

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結果、
最大兵力同率1位
城パーツ単独1位
を獲得してCOQの勝利。

COQ:60 フォルテ:53 海賊船:46 ちき:36 

最後、右手に気付いていなければフォルテさんに抜かれるところでした。
あぶなかったー。

プレイ時間100分

オススメ度:★★★★★★★★☆☆

惜しくも、強敵「世界の七不思議」に初代王座を奪われてしまいましたが、中々面白いゲームです。全然タイプの違うゲームなので、こればっかりは好みの問題だと思いますが、私はこちらのほうが好きです。ただし、世界の〜はカード構成を把握する程に面白味が増し、30分適度で七人までプレイできる挙げ句、ダウンタイムも殆ど無いという尖った部分を沢山持っていますが、ランカスターのシステム1つ1つにはそれ程の目新しさはありません。

しかし、このゲームのシステムはなんだか不思議に絡み合っています。
プレイ中、何度か相手を追い出した先のことを考えました。
これを追い出すと、恐らくあっちへ行って、結局自分が損する…とか。
考えようと思えばどこまでも考えられ、ユルくプレイすればどこまでも軽いプレイ感となる不思議なシステムです。ビリヤードのようで非常に悩ましい。

ゲームの雰囲気は良く出来ていて、騎士を配置し、法律を採択するというのは、本当にイングランドの1勢力となったかのようです。また、冒頭に紹介した通り、コンポーネントは抜群に素晴らしく、TBGLコンポーネントランキング(作成中)に食い込む勢いです。

説明書通り、60分で1ゲーム終わるくらいには繰り返して遊んでみたいゲームです。それにしても、このゲームをゲームマーケット/フリー卓でまわしていたメビウスゲームズさんは凄い。