Qin.jpg13-Jan-2013 ボードゲーム レビュー


Qin(秦)

作者:Reiner Knizia
2−4人用
対象年齢:8歳以上

小チグユー:3色タイルのライトな陣取りゲーム

おかえり、クニチー

Qin-1-1.jpgコマは4色とも24個付属している。何人プレイでも好きな色でどうぞ。クニツィア先生の過去の傑作の中に「チグリスユーフラテス」というタイルを用いた陣取りゲームがあります。このゲームは実に奥深いのですが、悩ましすぎて人を選ぶ仕様のため、毎回コップの反対側から水を飲まされるような難ゲームとなっています。このインクのでないボールペンで恩人への年賀状を書かされるようなゲームを、クニチー本人が改造してくれました。名作「チグリスユーフラテス」をライトにしたようなゲームシステムから、巷では小チグユーなどとも評されている本作。個人的には、影武者にゲームを作らせていると揶揄されていたクニチー本人に久しぶりに出会ったようなスマッシュヒットだと思います。
おかえり、クニチー。

Qin(秦)を作るにあたり、クニツィア博士がチグユーを参考にしたのかどうかは不明です。偶然、クワークルにそっくりなゲームをイチから創出してしまうくらいですし。


2段パゴタマイズが勝利の鍵

Qin-1-3.jpg赤を2マス繋げて国をつくりたいが、緑にソッコーで吸収合併されるかも!ルールは実に簡単です。手札として3枚持っている赤・青・黄の領土が2つ重なったタイルを配置し、秦の時代に自分の国を拡大するのがゲームの目的です。

配置したタイルが2マス以上の領土を形成したら、そこに自分の領土であることを表す”パゴタの塔(仏教の塔)”を配置します。領土は他の大きな領土に吸収合併されたりするので、その前に5マス以上の領土として大国を築いて盤石の体制を整えましょう。大国になったらパゴタの塔を2つ重ねて置くことができます。さらに、あらかじめボードに配置されている村に領土を隣接させたなら、村にもパゴタの塔を置くことができます。その村に隣接する領土に置かれている塔の数次第で村の所有権はプレイヤー間を行き来するので注意が必要。こうして、自分の塔を全て置ききったプレイヤーが勝利します。

ルールは上の文章でほぼ説明し終えてしまっています。シンプルですね、Ohブラボー(もっと詳しいルールは、こちらに和訳を公開してありますのでどうぞ)。


流れにのるか、養分として生きるか

Qin-1.jpg序盤意味不明な一手も終盤に効いてくることがある。このゲームの良いところは、陣取りやマジョリティ争いの楽しさに加えて、例えばタイル配置で「新たな領土を作成する」のか「自分の領土が吸収されないように守る」のか等、ルールのシンプルさ故のわかりやすい迷いと簡単な解答探しが毎手番ユルく体験できることです。手札は3枚しかないので把握できない程の悩ましさはありません。さらに、タイル運にも左右される”流れ”のようなものがあり、ひたすら新しい領土を作成できる時と他人が新しい領土を作る手助けしかできない時が発生します。その状況を打破するタイルを引く瞬間がまた良いです。

最終的にはあがりそうなプレイヤーに対して”お仕事”をしながら収束していくことになりますが、最後に勝つのはお仕事されないように地盤をしっかり固めて備えてきたプレイヤーになるのもいいですね。


おまけ:ボードは両面仕様

Qin-1-2.jpgこういうサービス精神が嬉しい。付属のボードは両面仕様です。草原が広がるシンプルな鳳凰の面と、邪魔な湖が点在し、より複雑な村の争奪戦が繰り広げられる獅子の面が用意されています。ルールブックでも最初は鳳凰の面をお勧めしている通り、獅子の面のほうが展開が複雑で噛み応えがあります。どっちも面白いですけどね。表裏の選択で変化を持たせられるようにしてくれたサービス精神がうれしいです。


TBGL会にて2人プレイ

Qin2-1.jpg海賊船さんが初めてだったので鳳凰の面でスタート。初期配置の3つの領土のうち、赤を2マスに繋げてパゴタマイズ。


Qin2-3.jpg周辺にある村を目指して領土は放射状の広がりをみせる。村の所有権は隣接している領土に置かれた塔の数で決まる。同点ならば早い者勝ち。

危ないのは中央付近に隣接した黒プレイヤーの青の大国(5マス以上)と緑プレイヤーの青の小国。このままだと大国に飲み込まれ、圧政を敷かれてしまう。


Qin2-2.jpgお互いに青のタイルを引かず、膠着状態で3枚のタイルを見つめ、どうする俺?とJ・オダギリのような台詞を吐きながら耐えていると、、

キタ。タイルが。

あまり先読みするのは苦手なので、その場凌ぎの浮き草なプレイ感がしっくり来る。


Qin2-4.jpg無事大国となり、安泰。


Qin2-5.jpg1ゲーム40分かからないとはいえ、色々なドラマがあったが語り尽くせない。そして終盤。

最後の村近辺まで領土を延ばして塔の残りは2個。新たな領土を1つ繋げて村に隣接させれば領土と村に1つずつ塔を配置して勝利。海賊船さんの起死回生は、先に村を占領することだけだが、考え込み方からして同色2マスのタイルは所持してないらしい。

もしもそうなら、既に手札に同色2マスタイルを所持しているCOQの前に敵は居ないのだよ、明智君。フハハハ。


Qin2-6.jpg目的を達して勝利。ありがとうございました。

COQ:24(置ききり) 海賊船:21


プレイ時間35分
この後すぐに3人戦を獅子面でやりましたが、獅子面は村の取り合いが熱くて良かった。3人程度だと自分の思惑が保たれたまま手番が1周するので丁度いいかも。よっぽどの実力差が無い限り、終盤まで勝負は拮抗しますよ。

オススメ度:★★★★★★★★

箱絵の胡散臭さとテーマからあまり期待せずにフラッと立ち寄ったら偶然本物のクニチーが居たみたいな喜びに満ちあふれるゲームです。チグリスユーフラテスの面白さは聞いたことがあるけど取っ付きにくいと思っている方にもオススメ。今年のペガサスは凄い。

2〜4人のどの人数でもそれなりに楽しめて、ルール説明も簡単で、ファミリー層やオープンゲーム会層にもオススメですね。ファミリー層にオススメというのは確か箱にも書いてあったような。

直後に2戦、3戦と遊びたくなるゲームです。タイルを3枚持つ感じも凄く良い感じ。末永く遊ばれるゲームになりそうな気がします。