T_struggle.jpg22-Aug-2012 ボードゲーム レビュー


トワイライトストラグル

作者:Ananda Gupta and Jason Matthews
2人専用
対象年齢:13歳以上

今、またラッパが私達を呼んでいる。
それは武器を取れという合図ではない。
これは重荷に耐えろという合図なのだ。
長い僅かな明りのような戦いの…

J.F. ケネディ

2005年にGMTから初版が発売され、今なおBGGランキングで1位を譲らない「トワイライトストラグル」。
今は「デラックスエディション」の4版が出回っています。
デラックスエディションでは、ボードやトークンが豪華になり、カードが何枚か追加されています。

さて、このゲームは1945年の米ソ冷戦をテーマとしたウォーゲームです。
しかし、所謂ウォーゲームの複雑な処理を「カードドリブン」というシステムを主軸とすることにより簡略化し、
普段ユーロゲームを中心に遊んでいる方々にも、非常にとっつきやすく仕上がっています。

「カードドリブン」というのは、1枚のカードを戦略値としてプレイするか、
イベントとしてプレイするかを選択して手番を行って行くシステムのことです。
日本では、AHの「ハンニバル:ローマ対カルタゴ」というゲームで有名になったシステムですね。

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ゲームには、A1サイズの巨大なボードを使用します。
プレイヤーは、米ソに分かれて世界の覇権を争います。

ボードには、幾つかの地域に分かれて世界地図が描かれています。
ゲーム中は、これらの地域をより多く支配し、得点計算を発動させ、世界の情勢を自陣営に傾ける事を目指します。
上部にはターンの進行具合を表すトラックや、宇宙開発競争を表すトラックが配置されています。

…このボードは、数あるゲームの中でも1, 2を争う程にカッコいいです。

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ゲーム中は、ここにところ狭しとトークンが並びます。
見た目は複雑ですが、並ぶトークンはほぼ1種類のみなので難しいことはありません。

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ゲームに使用する両陣営のトークン。
影響力を示す数字と、支配していることを表すための両面仕様。

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このトークンを地図上の各国に配置し、双方の影響力を示します。
それぞれの国に定められた影響力の数字を相手との差分で上回るとその国を支配していることに。

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そしてゲームの要、手札となるカード。
カードは3つの時代に分かれており、合計9つあるターンの進み具合に応じて山札に混じってきます。

序盤はソ連有利に、次第にアメリカに有利になっていく様が歴史を反映しているようです。

山札からターンの最初に規定枚数が配られ、その中から手番でプレイするカードを選択するというのがゲームの流れです。

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カードには、作戦値とイベントが書かれています。
「NATO」「マーシャルプラン」「インドパキスタン戦争」などなど、当時の重大事件が写真付きで。

カードにはソ連用とアメリカ用のものがあり、稀に両陣営用のものもあります。

自陣営のカードを使用する場合は、カードをイベントとしてプレイするか、作戦値としてプレイするかの2択。
他陣営のカードは、作戦値として使うことができますが、もれなくイベントが発生してしまいます。

強いイベントのカードほど作戦値が高いので、どちらを選択するかは非常に悩ましいです。

イベントでは、特定の地域の支配が入れ替わったり影響力を増したりという、史実に沿った出来事が起こります。
日米安保条約が締結され、日本が不動の西側諸国となったりもします。

配られたカードは、殆ど全てをプレイしなくてはなりません。
相手のイベントはなるべく有利な状況では発生させたくないので、
厳しい制約の中でも凄まじい駆け引きが行われます。

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作戦値を使用すると、今有る影響力に繋がる様に影響の範囲を拡げたり、
他国でクーデターを起こしたりすることができます。

基本的には、この影響力を使用して支配地を増やすのが手番のメインとなります。
他国の影響力に変動を与えるような行動(軍事行動)を起こす場合には、サイコロの目が結果を左右します。

各ターンでは、敢えてこの軍事行動をすることによって力を誇示しなければならない設定になっています。
しかし、紛争地域として指定されている箇所での軍事行動は、世界を不安定にします。
これにより、世界が滅亡してしまうこともあり得るのでご利用はほどほどに。

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上段のトラックのマーカーが右に進むごとに世界は不安定となり、軍事行動にも制限が発生します。
そして、一番右まで達した時、その引き金を引いたプレイヤーの敗北とともに、ゲームは終了してしまいます。

下段のトラックは、軍事競争を表しており、毎ターンに差分が情勢を左右します。

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こちらは宇宙開発競争。
前述の通り、相手陣営のカードはなるべく使用したくないのですが、
それを可能にする手段がこの宇宙開発競争です。

1ターンに1度のみ、陣営に関係なく1枚のカードを捨てることによってそのカードの効果を発動させる事無く、
宇宙開発にチャレンジすることができます。

チャレンジは、サイコロを振って出た目が規定数を上回れば良いという単純なものですが、
カードを1枚捨てられるというのは、ゲーム中唯一の救いと言っても過言ではないでしょう。

宇宙開発競争に競り勝つことにより、相手のプレイするカードの中身を見たり、勝利点を得たりという効果が得られます。

現実の世界よりも、宇宙開発は重要です。

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ゲームの主な得点源は、イベントカードと決算カードです。
決算カードがプレイされると、指定された地域の支配状況によって得点が入ります。

得点は綱引きのようなカウント方法となっており、どちらかが情勢を完全に引き寄せると勝利となります。

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他にも、ターン中1度だけ使用でき、使用後は敵陣営へと移る「中国カード」など、
世界の情勢を左右する様々な要素が満載です。

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TBGL2人ゲーム会にてちきさんと。

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ゲーム開始当初、まずは東南アジアの覇権を争う。
アメリカは半島にまで影響力を及ぼして来ているが、まずは東南アジア。

アジアの得点は、北朝鮮やベトナムを擁する東側諸国にとって大きいのだ。

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イベントでは、1ターン中、手札を公開させらる。
カードの読み合いが重要な中で、これは痛い。

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そして、アメリカはじきに始まるであろうヨーロッパでの争いに備えて影響力を配置。
実は、ヨーロッパの完全支配もゲーム終了条件の1つ。

序盤からヨーロッパに注力することは、西側プレイヤーの常套手段。

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東南アジアはインド方面からの包囲も受けるが、なんとか影響力を死守。
得点計算を迎える。

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しかし、序盤の手札公開が響いて勝利点に中々差がつかない。
ソ連はターンが進むにつれて不利になっていくので、序盤に押し切れないとキツい。

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そうこうしてる間に、宇宙開発でアメリカに遅れをとってしまう。
1ターンにカードを2枚捨てられる宇宙開発に先に手をつけたものの、
サイコロの目が冴えずに失敗してしまった。

お陰で、捨てる予定だったカードをプレイせざるを得なくなった。
NASAの技術力は世界一。

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そこでCOQは中米からアメリカに圧力をかける。
次第に相手のカード内容が相手有利となって行く中、苦しみながら必死に影響力を送り込む。

それでも中盤勝負になったのは、今回はなるべく自分のイベントを発動しないようにしたことのお陰。
カードの中には、イベントを発動させるとゲームから除外されるものが含まれている。
自分のイベントはなるべく利用しない様にする事によって、駆使できる影響力カードの割合を増やしていたのだ。

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すると、ちきさんが苦しみの中「チェ ゲバラ」のイベントを発動させ、中米がソ連有利に。
これはチャンス。

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注力しなくても良くなった分の影響力をアフリカに注ぎ、決算カードの登場を待つ。

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すると、なんと3枚の決算カードが手札の中に。
自分が優位となっている地域のカードを順番に解決していき、見事ソ連の勝利。

予期せず発生したイベントに助けられました。

プレイ時間:130分


TBGL2人ゲーム会は、実はTSをプレイしようというところから始まっています。

今までに4〜5回プレイして、その全てでソ連を担当しています。
このゲームは、序盤がソ連有利なので、大概はソ連が押し切る展開となります。

次は是非、アメリカ側でプレイしてみたいと思っています。

なお、初回のゲーム時間は6時間(!)
以後は大体2〜4時間で終わっています。

どのターンでゲームが終了するかもプレイ時間に大きく影響します。

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余談ですが、トークンを使用せずにサイコロを利用して影響力を表示する方法もあります。

オススメ度:★★★★★★★★★☆

傑作です。BGGのランキングが1位だからではなく、それはこのゲームを遊んでみようと思ったキッカケでしかありません。

自分が体験し、学校で習った出来事が豪華なボードの上で世界の情勢に影響を与え、それが自分のカードプレイで刻一刻と変化して行く。これは是非、体験してみて頂きたい。

ゲームの主軸はカードドリブンにサイコロを用いるシステムなので、所詮はカードの引き運とサイコロ運にかかっているゲームです。しかし、カードの引き運をなんとか帳消しにしようとするプレイ順の選択や、宇宙開発は、心に汗をかきながらの真剣勝負になるんです。このゲームの正体は、ウォーゲームとは名ばかりの、とてもエキサイティングな読み合い陣取りゲームです。戦争というよりは、政治力で覇権を争っている感じです。従って、お互いに同じ程度にカードの内容を知っているのがベターですね。

自分が死ぬ程苦しい時は、実は相手も苦しくて、予期せぬイベントが発生して救われたりします。逆に、そろそろ発動するあのカードが手札に無い…ということは。という展開もあり、集中が途切れることはありませんでした。数時間に及ぶプレイ時間は大概あっという間に過ぎ去ります。

1点注意しなければならないのは、各所で登場するサイコロによる解決です。これは確かに少し大味で、カードの引き運よりもずっと気にする方が多そうです。これを完全にカードで制御したり、布袋にトークンを投げ込んで有利不利を演出したりするシステムを採用すれば、より戦略的なゲームとなったかもしれません。しかし、私はサイコロ運のどうにもならなさが逆にこのゲームの味を演出していると思います。好みの問題ですけどね。

あとは、テーマ。冷戦というテーマは、ある程度年がいっている方でないと実感として楽しめないかもしれません。それでも、同様のシステムを採用したアメリカの選挙戦ゲーム(1960大統領を作る方法)などと比べれば、日本人にとっては格段に入り込み易いのではないかと思います。私はテーマもドストライクです。

ランキングは1位ですし、日本中に愛好家の居るこのゲームを今更ですが、オススメです。コンポーネントは持っているだけで満足の出来ですし。こんなゲームの相手を数回に渡ってしてくれる友人が居ることに感謝したいです。

最後に、このゲームをプレイするにあたり、Hirocean氏による「洋々雑記」の和訳ルールを参考にさせて頂きました。有り難うございました。






日本では、OGMにたまに入荷します。

GMTは基本的にはリプリントする会社のようです。
売り切れの場合には気長に待ちましょう。