TZOLKIN.jpg25-Jan-2013 ボードゲーム レビュー


ツォルキン マヤ神聖暦

作者:Simone Luciani and Daniele Tascini
2−4人用
対象年齢:13歳以上

ワーカープレイスメントが辿り着いた境地の1つ

イタリア人デザイナーコンビが贈る、歯車の競演

TZOLKIN-3.jpgこれが噂の歯車。ボードデザイン超マヤい。2012年エッセンにチェコゲームズが放り込んだ「ツォルキン」。発売前には、ほぼ無名なコンビによるデザインが疑心暗鬼を生んだ。だがしかし、蓋を開けてみれば期待を良い意味でしかも大きく裏切る結果が待っていた。

この作品が発表されたのは、丁度マヤ暦の終焉と世界の終わりが話題となっていたころです。ゲームのテーマにマヤ暦の終焉を意識したかどうかは不明ですが、とにかく舞台はマヤ文明。

部族の1つを率いて様々な効果を持つ歯車に労働者駒を置いていき、出来るアクションを駆使して神に帰順したり、建物を建設したりします。最も多くの得点を獲得したプレイヤーが勝者となります。

誰かが言った「このゲーム、マジマヤい!マジマヤい!」。そう、歯車に施された模様は素人でも塗りたくなるような出来でマジマヤい。「山本山の反対はマヤともマヤですよ」とマヤ知識をひけらかしたくなる。


歯車によってワーカープレイスメントは1つの境地に達した

TZOLKIN-4.jpgワーカーを置くにはトウモロコシのコストがかかる。ゲームのメカニクスは、少々使い古された感の漂うワーカープレイスメント。しかし、あるアイデアがこのゲームをワーカープレイスメントの境地の一端へと押し上げました。それは、歯車が回転することによるワーカーの自然移動。ラウンドごとに1目盛り分回る歯車の上にワーカーを置き、目的のアクションを行えるマスに進むまで待つのです。歯車は、ラウンドごとに1目盛りずつ動いていきます。

手番で出来る事は基本的に自分のワーカー(駒)を好きなだけ置くか、好きなだけ取るかのどちらかで非常にシンプル。ワーカーの配置にはコストが発生し、ワーカーはコストの安いマスから配置していかなければなりません。沢山のコストを支払っても、いきなり飛び級でワーカーを配置することはできないのです。

ワーカーを取る場合は、取ったマスに示されたアクションを実行することができます。複数ある歯車はそれぞれがマヤの都市を表しており、ティカルは技術力関係というように、同形等のアクションが固まっています。

ところで、ワーカープレイスメントの宿命として、ワーカーを養う食料を供給するフェイズも当然あります。このゲームで用いられる食料はトウモロコシ。トウモロコシはワーカーの配置コストとしても使用されるので、気をつけていないとすぐにカツカツになります。

当然だけれど、強いアクションは歯車のより先にある。コストの安いマスが空いていれば安価にワーカーを配置できて助かるけれど、目的のアクションまで随分と待たなくてはならなかったり。
また、ワーカーを置くか取るかのアクションは必ず行わなければならないので、手持ちのワーカーを全て置く時には、取る算段をしておかないと手番の効率が悪い。


技術革新、自分はできるけどアイツはできない

TZOLKIN-5.jpg技術のトラックも都市の数と同じく4つある歯車のアクションを利用し、さらに資源を支払うことで、農業や建築などのアクションを強化することができます。通常X個しか手に入れることの出来ないトウモロコシが、X+4個手に入れられるようになったりして、ゲームを有利に進められるわけです。技術を進めているのと進めていないのとではアクションの有用性が大分変わり、優越感を味わいながら勝利を目指すことが出来ます。

また、極限まで高めた技術が、さらに高めようとするアクションによってその系統のボーナスを吐き出したり、技術力をそのまま勝利点へと換える記念碑(後述)が存在したりします。技術に限らないけれど、このゲームの各要素はそれぞれに特化することが作戦に繋がる楽しみを秘めていますね。

ゲームの楽しみの1つに、経験則を見つけたり戦略を開発したりということがあると思う。このゲームは、その楽しみ方に非常に馴染み易い要素を持っている気がする。


神々への帰順を示すのも部族反映の道

TZOLKIN-6.jpg一番左は腹筋の神マヤに限らず古代文明といえば様々な神々との繋がりも見所。このゲームでも神々は大きな役割を果たしています。そんな神々へ敬虔な姿勢をしめすため、様々なアクションに付随する神様のシンボルに応じて、各神様への信仰心を上昇させます。これにより、都合4回訪れる決算のタイミングでワーカーへの食料供給を行った後に勝利点や資源などのご褒美を得ることができます。

また、トウモロコシがどうしても足りない時、このマーカーの何れかを下げることによってトウモロコシ乞いをすることができます。序盤はトウモロコシ乞いを駆使するプレイヤーもチラホラ居るようです。あまりマーカーを下げ過ぎると取り返しのつかない差がつくことになりかねませんけどね。

それぞれの神様のトラックで1番のプレイヤーには別途勝利点のボーナスが入る。これを疎かにして誰かに独占されると非常にまずいことになるみたい。


建設で食料事情は大分楽になる。

TZOLKIN-7.jpg各3枚のうち、2枚をランダムで選択してゲームに使用する。ゲーム中建てられるのは建物と記念碑の2種類。建物はゲームの進行度合いに応じて2種類のレベルの物が登場します。建物を建設すると、勝利点が手に入ったり、技術が1つ進んだり、供給しなければならない食料が少なくなったりします。

一方記念碑は、技術を進めてる状態に応じて得点など、それぞれのプレイスタイルに合わせた目標タイルのようなもの。記念碑による得点もかなり大きいので、目的のタイルを死守したいところですが、基本的にかなりコストが高いので、ゲーム開始当初からある程度目論みを持って置く必要がありそうです。

こうして歯車がまわり、計4回の決算を終えた後に最も勝利点を獲得していたプレイヤーが勝利します。

このゲームの特徴の1つだと思うのだけれど、アクションに派生して発生する特殊能力に特殊なものが無い。つまり、建物タイルに描かれているご褒美は、基本的には歯車で行える範疇をでないのだ。自分はここが凄く気に入った。


TBGLゲーム会にて

TZOLKIN-1-1.jpgTBGL会にて4人プレイ。
ゲーム開始時には4枚の初期タイルから2枚を選択する。
潤沢なトウモロコシを持ってスタートするか、開始当初から技術を持っているか。
それぞれの思惑に特化して開始できるわけだ。

今回は、少し無理をして技術に特化したタイルを選択。
序盤の食料は物乞いして凌ぐことにし、腹筋の神に身を委ねる。




TZOLKIN-1-2.jpgその戦略に合わせ、序盤から技術の都市ティカルへしかワーカーを送り込まない。
とにかく技術に特化して後半有利を目指す。

他のプレイヤーは、「アノヒト2回目だからって技術特化してますよ。先輩、やっちゃって下さいよ」と牽制しあう。




TZOLKIN-1-3.jpg黄色のMOGさんは、最も高価な資源である水晶髑髏を小脇に抱えてチチェン・イツァの歯車をまわって行く。この歯車の各マスでは水晶髑髏を供えることによって大量得点が狙える。終着マスではさらに凄い得点が得られるので、ここを狙うなら序盤にワーカーを送り込むのが重要。

ルール上、先に歯車に乗った駒を追い越すことは不可能。まるで出世街道に乗った官僚のようだ。




TZOLKIN-1-4.jpg獲得した技術を利用する形で、建物を二つ建設。
この建物はワーカーへのトウモロコシ供給を減らしてくれる。初期にトウモロコシを持たざるものとしてスタートしたCOQには必須の建物。

このゲームの食料供給はかなり厳しく、ワーカーの配置にもコストがかかる。この手のゲームには珍しく、ワーカーを増やすことが勝利に直結しない仕様のようだ。

食料供給の罰則はキツいので、ストーンエイジのような戦略は取れない。




TZOLKIN-1-5.jpg見ての通り、COQ(緑)の技術マーカーは他にかなり先んじている。農業の技術も向上させたので、ここからはトウモロコシもガンガン取れる。

マヤの科学は世界イチィィィィっ!




TZOLKIN-1-6.jpgこのゲームではスタートプレイヤーマーカーが自動で移動しない。スタPとなるには、自分のワーカーを投じなければならない。しかし、その見返りは大きい。スタP獲得アクションが起きなかったラウンド数分だけトウモロコシが溜まって行き、それを一気に獲得できるのだ。足りない分のトウモロコシはこれで大分充足。なんとか滞り無く年貢を納めることができた。

そしてスタPのもう1つの権限。必殺、歯車2目盛り回し。ゲーム中(ほぼ)1度だけスタPを取ったタイミングで歯車を2目盛り回せるのだ。これで他人の思惑を崩す。ここぞとばかりに回した2目盛り。4人プレイで計3回「死ねば良いのに」と言われた。全弾命中の福音。




TZOLKIN-1-9.jpg最後は、予定通りに技術=勝利点の記念碑を建設してゲーム終了。


COQ:51 海賊船:45 MOG:39 流:37 


プレイ時間:150分(4人)

2013/1/16

オススメ度:★★★★★★★★★

面白い。
最初のプレイ直後からリプレイ欲が湧いてきました。テーマとシステムの融合もチリバツ。チェコゲームズにありがちな、要素のオーバーロード感も無いです。建物の効果もシンプルで良かった。

ワーカーを置くか取るかの2択という潔い手番選択と、ワーカープレイスメントの境地の1つとも言える、ラウンド進行と同期したマス自体の移動というアイデアの相性はとても良く、骨太で安心感抜群な土台となっています。

リプレイ欲の原因は、”こうしたらどうだろう”という道が沢山存在しているからだと思います。安定した土台のお陰もあって、4つある歯車のアクションのバランスが良く、どの戦略も頭の中では機能するように思えるのがこのリプレイ欲を後押ししてきます。やり方次第ではトウモロコシだけで建設までまかなう戦略もとることができ、色々試してみたくなること請け合いです。人間の頭は、進化の過程で改善策を思いつくことに快感を覚えるように出来ているのでしょうね。

ある程度先を読まなければならないゲームなので、人を選ぶことがあるかもしれませんが、2ラウンドくらい先しか考えないプレイでもそこそこ勝負になる程度の懐の深さはありそうです。

2012年エッセンで1、2を争う出来。オススメ。

4人で2回遊び、どちらも2時間強でした。待ち時間を考えると、3人のほうが良さそうですが、今度遊んで試してみたいと思います。

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ボードが特殊なので、継ぎ目が破れ易いみたいです。
これはちょっと残念でしたね。