container.jpg07-Jun-2012 ボードゲーム レビュー


コンテナ

作者:Franz-Benno Delonge and Thomas Ewert
3〜5人専用
対象年齢:12歳以上

みんなで責任を分担する。利益も分配する。
だからこそ仕事に励みが出てくるというもの。

自由度MAX、希有な名作経済ゲーム『コンテナ』です。
そのゲームシステムはもとより、インパクトのある(無い)色使いのコンポーネントが有名ですね。
新作も一段落したところで、手に入らなくなる前にお勧めゲームを紹介。

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レジン製の貨物船は、写真に撮ると案外綺麗。
本物は見分けがつかないくらいにボンヤリしてます。

さてこのゲームでは、プレイヤーは経営者となって、誰よりもお金を稼ぐことを目指します。
プレイヤーは、工場で製品を生み出し、製品を買い付けてコンテナに梱包し、
貨物船に積み込み、市場へと売り出すのです。

「コンテナ」の特徴は、これら一連の流れの中で発生する金銭のやり取りが、
一定の範囲の中ではありますが、プレイヤーに一任されているという点です。

品物の値段も、コンテナの値段も、全てそのプレイヤーが市場を見て決めるんですね。

これだけだと、古く、システムが機能していないゲームにありがちな特徴ですが、
コンテナにはある工夫がしてあります。

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それは、この個人ボードを見るとわかるのですが…
そう、数字の向きが互い違いに配置されています。
先程の一連の流れを、自分だけでは完遂できないのですね。
必ず、交互に他人の力を借りなくては商売が進まず、お金が儲からないシステムなのです。

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そして「コンテナ」のもう1つの特徴。
それは、ゲームボードの使い方です。

個人ボードは港と倉庫、そして個々の工場を模しています。
中央にあるボードは、それぞれのプレイヤーが最終的に購入したコンテナを置く島。

それ以外のテーブル上は、全て大海原という設定なのです。

ゲーム中は、各自一隻の貨物船を所有しています。
これらは、港、島、海の何処かにいることになっているのです。

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ゲームの流れは、自社工場を建てるところから始まります。
カーリングの石みたいなのが、工場です。
最大4つまで増設できます。

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生産を行うと、工場と同じ色の製品を生み出せます。
これを1〜4の好きな値段で売りにだします。

自分の商品を自分で購入することはできません。

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次の列には港の倉庫が建設されています。
ゲーム開始当初は1つですが、最大5つまで建設できます。

倉庫の数だけ、港に製品を並べられます。
ただし、この製品は他のプレイヤーの工場から買い付けてこなければなりません。

ここでも値段を自由に決められますが、買った値段より安くする事も可能です。

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やはり、自分の港の商品を自分で購入する事はできません。

他のプレイヤーが欲しくなるような値付けを行い、貨物船に積んでもらいます。

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積まれたコンテナは、島で競りにかけられます。

運んだ本人以外が競りに参加し、一発勝負の握り競りを行います。
競りが成立すれば、銀行からのボーナスを加えて落札価格の倍額が運んだ本人に入ります。

安過ぎるな、と感じた場合には、自分でその金額を支払って落札することもできます。

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落札は、ゲーム開始時に秘密裏に配られている商品価格表を基に行います。
各プレイヤーにとって、コンテナの価値は異なることになります。

安いコンテナ、全色集めると得点が倍になるコンテナ、価値の高いコンテナ。
接岸した貨物船のコンテナをバラ売りすることはできないので、
落札資金の突っ込みどころが肝心です。

しかも、各自最も落札数の多い色のコンテナは、ゲーム終了時にゲームから除外されます。
自分にとって価値の高いコンテナを集め過ぎるとゲームから除外されてしまうのです。

バレないように、相手の欲しいコンテナを推察しながらゲームを進めることになります。

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5色あるコンテナのうち、2色が枯渇したらゲーム終了です。
各自のコンテナ価値を公開し、最終得点計算を行います。
借金の返済等を行った後に資産を合計し、最もお金を稼いだプレイヤーが勝利します。

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作者は異なりますが、拡張セットも発売されています。
・贅沢品(金コンテナ)の追加
・工場建設制限の変更
などなど、様々なルールが追加されます。


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TBGL会にて4人プレイ。

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この時は確か、倉庫プレイで沢山貨物船に来てもらう作戦。

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早速初期資金で倉庫を建てて、港にコンテナを並べる。
しかも、ちょっと高めに。

手番でできるアクションは2回なので、一気に積めるというのもメリット。
そのメリットを武器に、少し高めに購入してもらう。

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コンテナ転売でチビチビと得た資金で、荷揚げされるコンテナの落札も行う。

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今回のゲームは、荷揚げ時の落札価格が低かったせいか、かなりのロースコアゲーム。
行き交う貨物船に載るコンテナの数も、心無しか寂しい感じ。

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一応、思惑通りに沢山の船が来てくれるが、資金繰りが厳しいせいか、
安いコンテナしか売れていかない。

資金繰りが厳しい!

このゲームで市場の資金が増えるのは、工場製品が売れた場合と、
荷揚げで落札された場合の2通りのみ。
それ以外は皆の資金が流動するだけ。
やはり、銀行から資金を引き出すようなプレイをしないと。

工場か荷揚げ、そのどちらかに軸足を置いていないと経営がおぼつかない。

他人の製品を購入してわずかな利益を乗せるだけの倉庫プレイでは、厳しいのは当たり前だった。

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それでもなんとか安値でコンテナを買いたたき、多くの荷揚げ品を落札する水色COQ。

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だが、資金がキツい。
ついつい、借金に手をだし、自転車操業へと移行する。
ワレスゲーのやり過ぎで、借金への敷居が低くなっていた。

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そうこうしているうちに、健善経営の周りの会社が追いついて来て追い抜かれて。

終了時には借金まみれのビリ。憤死。
荷揚げの競りで大金を掴むチャンスに恵まれたプレイヤーがそれを運転資金にまわして一気に勝利。

オススメ度:★★★★★★★★★★ 

鉄板です。なぜか高まる仮想現実感。あぁそうだ、みんな小さい頃は、バスの運転手とかお店屋さんとかになりたかった。

猛烈な自由度を制御するインタラクション。生産/値付/流通/購買、これらの商品の流れを1人では行えない様に、帯状ラザニア的制御にしたことが「コンテナ」の肝。「このゲームはソロプレイ感が…」などと抜かす輩のほっぺたに、箱ごとグリグリと押し付けたくなるゲーム。

自由に商売をしているような感覚を味わえます。初めてプレイした時は、新入社員研修等でやる生産ロールプレイング研修を思い出しました。ルールは結構シンプルです。シンプルなルールの中に、大まかな価格設定幅を用意してもらっただけなのですが、需要と供給のバランスを超楽しく体験できるゲームです。他者との狙いの読み合いもアツい。他者の狙いと自分の狙いを照らし合わせることができるようになってくると、値付けにも「損して得取れ」のような駆け引きがでてきます。そうなったらもう、このゲームの虜ですね。テーブルを海に見立てたダイナミックな仕様も相まって、仮想現実的に入り込めちゃいます。

揶揄されることが多い船のコンポーネントですが、これをタイル等にしなかったことに感謝です。惜しむらくはむしろ、商品や工場の色使いですね。パッケージにあるようなカラフルなコンテナを想像して箱を開けると、子供が泣くレベルに地味な配色です。Geekの写真等を見ると、自前で塗装しているヒトもいるようです。

3人、4人、5人でプレイしましたが、5人がゲーム開始当初の不公平も無く、一番面白いです。競りがあるので、人数が多い方が金回りも良くなりますしね。

残念なことに、つい最近絶版になってしまったようで、市場から姿を消しつつあるようです。2012年3月にアメリカに行った時には普通に売っていたので、まだまだ探せばあると思います。

このゲームの作者が「フィヨルド」のデロンシュであることを知った時には鳥肌が立ちました。至高の名作の1つだと思います。

追記:もしも日本語ルール添付版を手に入れる機会があるなら、アークライト訳付きをお勧めします。もう一方の和訳は、空港で適当に捕まえた英語圏旅行者を捕まえて、1人1セクションずつ訳させたかのような凄まじい出来です。ご注意。