grandcru.jpg13-Dec-2010 ボードゲーム レビュー


グランクリュ
作者:Ulrich Blum
2〜5人用
対象年齢:12歳以上

10年に一度の当たり年だよ!
      さぁ、買った買った!!

去年は、「ここ数年で最高の出来」
       じゃなかったっけ…?

 エッガートシュピーレ社の「グランクリュ」です。
 本作は、木箱入りの特別版も発売されている、エッガート肝入りの作品です。期せずして、本年度はワインに関するゲームが2つ発売されました(もう一つは「ヴィニョス」)。

 両方とも個人的に、今年の新作の中では期待していた作品です。

 プレイヤーは、フランスのブルゴーニュ地方で新たにブドウ農家を始める若者となります。まずは借金をして、利子を支払いながらブドウを育て、加工してワインを熟成し、宣伝をして商品を売ります。1年の終わりには楽しいワイン祭があり、ワインを沢山出荷した農園には、その名声に応じたボーナスが与えられます。誰かが借金を完済した時に、最も資産の多い農園の経営者が勝利者となります。

 このゲームでは1年単位のラウンドを数年行います。1年はワイン畑の改良と年末の2つのフェイズに分かれています。ワイン畑の改良では、スタートプレイヤーから順番に1手番ずつ行って行きます。手番には、ブドウ/改良チップを競る、ブドウを収穫する、改良チップを使う、ワインを売る、宣伝してワインの価値を上げる、パスをする、などのアクションが1回行えます。

 自分の農園はそれぞれ自前の農園ボードが配られます。ボードの上半分にブドウの苗と改良チップを配置し、下半分で刈入れたブドウを熟成させてワインとします。

 ブドウや改良チップを農園に植えるには、ボードにある「オークショントラック」を使用します。ここのチップ提示マスに、その年にオープンされたチップのうち、欲しいチップを置き、値段を付けます。手番が1周して自分に帰ってくる間に、自分より高値を付けた人が居なければ、その手番を利用してチップを購入することができます。また、オークショントラックの最大価格である6フランを超える7フラン(!)を支払い、問答無用に購入することも出来ます。 他のプレイヤーが、借り入れなどで忙しい時にひっそりと競りに掛けるのがコツです。

 改良チップには、1つのブドウ苗から2つのブドウを刈り取る「豊作」や、1度に2つの苗からブドウを刈り取る「収穫手伝い」、ワインの熟成を早める「精製」、1種類のワインを同じ樽にある別のワインと同じ種類にできる「調合」、ワインを1個だけ最高価格でお得意さんに販売できる「当たり年」などがあり、超便利です。 改良チップが、その農園の方向性を決めると言っても過言ではありません。

 ワインを作るにはまず刈り入れからです。1フランを支払うことによって、1つだけブドウを収穫してワインに仕込むことができます。ブドウには5種類あり、早熟のガメ(緑)から長熟のピノ・ノワール(青)を自由に植えることができます。ブドウは苗を植えておけば、毎年1つ実ります。

 仕込んだワインは、1年ごとに熟成され、右側の樽に移って行きます。仕込んだワインと同じ色のブドウマークが書かれた樽まで熟成が進んだら、ワインを売る事ができます。ワインの価格は「需要トラック」に示されており、手番を一回消費することで、1マス分価格を上げることができます。ワインを売る時は、1つの樽に仕込まれている同色のワインを一気に売る事ができます。1回ワインの売却を行うと、何個を同時に売ったかは関係なく、ワインの価格が1マス分下がります。 従って、ワインは同種をまとめて売ったほうが得なのです。

 販売したワインは、プレイヤーの紋章が入ったワイン樽に置かれ、年末のワイン祭を待ちます。

 スタートプレイヤーが4回以上の手番を行い、誰かの畑のブドウが全て収穫されると、ブドウを全て収穫したプレイヤー以外がもう1手番を行って年末となります。

 年末にはワイン祭が行われ、各種のワインごとに、その年最も沢山のワインを出荷した農園に名声点が与えられます。各農園は、この名声点を使用して、スタートプレイヤーマーカーの獲得や、ワインの宣伝、収穫しきれなかったブドウのブドウジュース化などのボーナスアクションを行う事が出来ます。

 楽しいワイン祭が終わったら、借金の利子を支払い、新たな借金をしたり、借金を返済したりした後に、新しいチップがめくられ、新年がスタートします。

 誰かが借金を完済した時に、最も資産の多いプレイヤーが勝利します。

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 個人のワイン農園ボード。それぞれ紋章が違います。
右上に転がっている赤いのは、スタPマーカー。


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 需要トラック:ワインの価値を表します。
長熟成の種は値段も高い。緑は早熟型。


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 オークショントラック:ここを人数分使用して、
その年のチップを競り合います。7はマハラジャ買い用の数字。


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 こちらはワイン祭。それぞれの紋章がかかれた樽が置かれています。
販売したワインは一旦ここに置かれ、その年の名声点を生み出します。



例によってお金はこれを使用。
紙幣が付いているのですが、
こちらのほうがしっかりしていて、プレイに耐えます。



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  ボード全景。緑のワインボトルは、手番の周回数を示します。4回以上回ると、終了条件が発動します。
 個人ボードの紋章とワイン祭会場の紋章が対応しています。 目指せ、ワイン王!!

 埼玉ボードゲームサークルにて、あしかさん、タナカさん、じょーさんと4人プレイ。

 ゲームスタート!! 奇麗なコンポーネントに胸が躍りますね。

 まずは、借金です。コマを握り込んで、初年度の借金をします。毎年、最後にはさらに借金をすることができるので、まさに「ご利用は計画的に」です。借金は7フラン単位(クレジット)で出来ますが、利子は毎年1クレジットで3フラン。以降1クレジット増えるごとに利子も1フラン増えるという暴利。

 そんな中、COQ3クレジット、あしかさん4クレジット、そしてタナカ&じょーさんは無謀にも5クレジットからスタート。市場のチップを買い占める戦略のようです…

 最初のラウンドのみ、ブドウチップを人数×2枚と改良チップを人数分オープンにします。以後は人数×2枚のチップをランダムにオープンにします。初年度の為だけに、チップを種類ごとにわけ、その後混ぜるのは大変です。最初から混ぜておいて、適当にオープンし、規定の種類が揃うようにしたほうが楽ですね。

 さて、このゲームは2010年のエッセン新作。全員が初プレイとなります。初プレイの難点と言えば、競りの相場がわからない事です。実はブドウの苗はゲーム終了時に5フランの資産価値があります。この辺りが相場じゃないかと思い、各自が競りを行っていきます。

 COQ農園では、まず緑のガメ種のブドウを4フランで落札して早熟なワインを運転資金にしようと企みます。他の農園も3〜4フラン程度で黄色や紫のブドウを植えて行きます。

 …が、じょーさんは長期熟成だけど最も価値の上がる可能性のある青ピノ・ロワールを買い占め、あわよくば混ぜ物にして大もうけする闇農園化計画をスタート。この為に大量に借金したんだとばかりに競りにかけずに7フランのマハラジャ買いをしていきます。

 確かに、競りに掛けてから購入しようとすると、最低でも2手番必要です。手番が4周以上回ると終了条件(全員がパスするか、誰かの農場でブドウが全部収穫されるか)が発動するので、あっという間に過ぎ去る1年もあります。利息は1年ごとに支払わなければならないので、短期勝負でマハラジャ買いもありなのかもしれませんが、、。じょーさん、この手法でピノ・ノワールを2苗獲得。

 収穫やら宣伝やら、やりたいことが沢山あるので、他人の競りの邪魔も出来ず、あしかさんが黄色のブドウを1〜2フランの安価で集めて行くのが気になります。

 マハラジャ買いは3クレジット(21フラン)しか借金していないCOQ農園にとって、ブドウ苗を買うにはあり得ない選択だったのですが、清水の舞台から飛び降りてマハラジャ買いを行ったチップがあります。そう、改良チップです。購入したチップは「豊作」というチップで、1年に1度だけ、1つの苗からブドウを2つ収穫できるものです。

 只でさえ、手番にやりたい事が溢れている序盤、1手番で早熟なガメ種を2個仕込めるというのは魅力でした。最初、タナカさんが4フランの値を付けていたのですが、マハラジャ買いで横からさらったのです。

タナカ「やっぱそうくる?」
COQ「そうきます(笑)」

 そうこうしているうちに、初年度終了。COQ農園は、ガメ種の収穫こそしたものの、売却まで手がまわりませんでした。その他の農園も、中長期熟成のブドウを選択したため、初年度出荷ワインゼロ。

 そして、1年目のワイン祭。

じょー「ワイン祭って、今年は誰もワイン売却してないけど、盛り上がるのかな?」
一同「確かに(大笑)」

 誰も名声を得る事はできませんでしたが、初回は名声3点から始まるので、幾つかのアクションを選択することはできます。ここで、じょーさんは2名声点を消費して「ブドウジュース」を選択。収穫できなかったブドウをブドウジュースにして、1個につき1フランで売却できるアクションです。

じょー「今年のワイン祭はブドウジュースで盛り上がろう!」

 その後、今年度の利息支払いタイム。ここで、皆さん、利息の恐ろしさを知ったようです。5クレジットを借りたじょー&タナカさんの利息は7フラン!1クレジット分です。しかも、手元には2クレジット分ほど現金が余った状態での利息計算。借りなくていい借金は借りないのがこのゲームのコツです。タナカさんは早速、最初からやり直したがります。

 追加の借金をそれぞれして、次の年が始まります。

 次の年、じょーさんは性懲りも無く、ピノ・ロワールの苗を植えます。COQ農園では、赤と紫の苗を植え、カラフルな農園に。あしかさんは黄色の苗を集めまくります。

 この年、じょー農園で初めての収穫。早速、樽に仕込みます。

じょー「世界一のワインを作ってやる、待ってろ皆!」

 COQ農園では、ガメ種のワインを初出荷。年末のワイン祭が楽しみ。

 予定通りに名声点を得て、ワイン祭でガメ種の宣伝を行い、価値を上げます。「豊作」チップのおかげで、1つのガメ苗から2つのワインが仕込めるため、序盤かなり有利なコンボです。

 次の年への借金タイム。じょーさんの顔がピノ・ノワールと同じ色に青ざめます。そう、ピノ・ノワールは長熟。出荷に最低5年かかります。

じょー「やばい、このままだとワイン出荷まで資金が続かないかも」

 どうやら、資金繰りがぎりぎりのよう。もはや、借金は次の年の利息の為だけに行う状態に陥ります。世界一の高級ワイン農園を目指すはずが、ブドウジュースを出荷しただけで終わる危機。笑いがこらえきれません。

 途中、最後に残った1名声点を1フランへと換え、名声点も0点となるじょー農園。高級ワインどころではありません。倒産の危機。手番では、ひたすら青ワインの宣伝を行って、来るべき売却の日を待ちます。このワインさえ売れれば!と息も絶え絶えな農園経営。

 一方、あしか農園は、黄色のブドウを独占し、黄色のブドウだけを宣伝しては高値で捌いています。これは、やられたかも。ワインの売却は1樽に仕込まれた1種類のワインをまとめて行うので、単一色に統一されたワインは手番の消費も少なく、有利なのです。

 終盤、初年度に大量の借金をしたじょー&タナカさんは利子を払うので精一杯。じょーさんは借金が最大の11クレジットにあと1と迫る10クレジットの借金をして平成の大借金王へ。なんとか、ピノ・ノワールの出荷に成功するも、全ては利子の返済へと消え、やがてじょー農園は荒れ地となりました。

 タナカ農園も、借金の利子に追われ、火の車。勝負はCOQ農園とあしか農園の一騎打ちの様相。

 COQ農園は、皆が収穫などにかかりきりなっている間にブドウ苗をどんどん安価で仕入れ、「収穫手伝い」のチップで収穫スピードをあげ、終了時のブドウ苗資産価値での勝負を狙う。

 しかし、あしか農園が一足先に借金を返し終え、大量に仕込んだCOQ印ワインの売却は叶わず、ゲーム終了。生産力は上回っていましたが、一色を早期に独占したあしか農園の戦略にやられました。残念。

 最終資産:あしか36、COQ26、じょー4、タナカ マイナス点


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 初年度の借金。借金王がスタートプレイヤーとなります。
しかし、暴利だ……




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 まずは熟成の早い、ガメ種(緑)を植えるCOQ農園。
「豊作」チップは大枚7フランを支払った虎の子。




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 黒のじょー駒が赤ブドウを競りにかけている。
しかし、この後落札はできなかった。




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 青のピノ・ノワールにかけるじょー農園。
このブドウはブドウジュースとして出荷。




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 ワインの無い1年目のワイン祭。
ブドウジュースとほんわかキャップで盛り上がれ!





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 じょーさんやっと念願のワインを仕込む。
しかし、黒の借金マーカー、残すは3クレジット。危うし。





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 遠くに見える、あしか農園。
まだまだ黄色のブドウを落札しようとするあしかさん。

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 最終系。かなりワインを仕込み、あとは売却して借金を返済するのみでしたが、あしか農園が借金の返済をしてゲーム終了。
資源はCOQ農園のほうが勝っていたため、1〜2年差の敗北。残念。

 オススメ度:★★★★★★★★☆☆ 

 期待通りの面白さでした。考える事がいっぱいあり、手番もサクサクすすむので、ゲーム中気を抜くヒマはありません。今回は、当初相場がわからず、黄色のブドウの独占を許したため、あしかさんの勝利となりましたが、慣れてくると、邪魔のコツも掴めてくるため、色々な戦略・勝ち方が必要となりそうです。

 基本的に、自分の箱庭を作るようなゲームは大好きですが、その手のゲームはソロプレイ感が難点でした。しかし、このゲームは、競り、ワインの価値、ワイン祭でのアクション選択と他人との絡みも満載。ワイワイ楽しくゲームできます。独占の阻止や相場の適正化が重要です。

 自分の農園で栽培したブドウを収穫し、長い年月をかけて熟成させたワインは、出荷時に涙がでそうなくらい愛着が湧きます(笑)。

 経済ゲームにはプエルトリコという名作がありますが、これはそれよりも少しだけ簡単なルールだと思います。ルールブックもしっかりしているので、上級者への足がかりとしても良いのではないでしょうか。

 難点は、改良チップのアイコンの解りづらさと、各人の紋章の色が薄いものが多い(その分、ワイン駒が鮮やかなんですけどね)ことくらいでしょうか。

 さすが、木箱の豪華版を出すだけのことはあります。しかも、内容&コンポーネントの割に値段が安いのでオススメです!!

 ワイン飲みながらやりたいなぁ。