innovation.jpg20-Jun-2012 ボードゲーム レビュー


イノベーション

作者:Carl Chudyk
2〜4人専用
対象年齢:12歳以上

文字の発見は、文明を大きく前進せしめた

2012年にホビージャパンから日本語版が出たばかりの『イノベーション』です。
元々の発表年は、2010年。

同人ゲームのような見た目でデビューしたゲームですが、
イエロ社によってビブリオスと同様にリメイクされ、それをHJが日本語化しました。

イエロ社によるリメイクで、カードイラストは格段にカラフルに変更されています。
元のカードも悪くないですけどね。

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箱はビブリオスと同じ巻き箱。
これにカードと日本語マニュアル、そしてプレイヤーサマリーを兼ねた個人ボードが付属しています。

個人ボードはかなり立派な仕様で、初めて見たら驚くかもしれません。

ちなみに、作者のカールチャデクはMITのボードゲーム部みたいなところに居たらしいです。

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これはゲームのセットアップをしたところ。
1〜10までの時代のカードを円形に配置し、それぞれから1枚ずつを抜き取って時代制覇の証とします。

このゲームには、制覇やら教義やら、いろいろとわかりにくい単語が登場します。
これらは、ゲーム中に行うアクションに名付けられた単語なのですが、
なまじ無理矢理日本語にした分だけ、さらにわかりにくくなっています。

ゲームをスムーズに理解するために、まず最初にこの単語の意味をおさらいすることをお勧めします。

教義=カードの効果

というように、整理してからゲームに入ると良いでしょう。
日本語ルールブックの巻末に、用語の解説が載っています。
ただし、この解説には肝心な”教義”の説明がなかったり、と中々難解なのでくじけないように。

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こちらは個人ボード。
表裏にゲームの説明が書かれていて、ゲーム中に参照できるようになっています。

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このボードの左側に裏返して置いたカードが影響点となり、
右側に置いたカードは制覇した証となります。

ゲームの終了と勝利は、主にこの2つの要素で決定されます。
3人プレイなら、5つの時代もしくは分野を制覇したら勝ち、のように。

各時代は、その時代の数字の5倍以上の影響点を集めると制覇できます。
制覇は早い者勝ちで、一度制覇すれば、失う事はありません。

影響点は、カードの効果で手に入れることになります。

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こちらは、5つの分野カード。
ある一定の条件を満たすと手に入ります。
これも制覇と同じく、勝敗決定の要素となります。

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各プレイヤーには、自分の”領域”というものがあり、ここにカードをプレイしていきます。

手番では、以下の中から2アクションを行います。

①手札からカードをプレイする
②カードの効果(教義)を適用する
③カードを引く
④時代を制覇する

カードの種類は5つあり、新たにプレイしたカードは、同じ色に重ねなければなりません。
一番上のカードの効果しか利用できないのですね。

また、カードをプレイすることにはコストがかかりません。
どの時代のカードでも、手に入ったそばからプレイ可能です。

カードに書かれた”木”や”塔”などのシンボルは、カードの効果に影響を与えます。

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そして、このルールがこのゲームの肝です。
カードの効果でカードを”展開”すると、カードをずらして置くことができるのです。

こうすることによりシンボルが増え、強い文明となることができます。

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カードの効果には本当に様々な物が用意されており、カードの色によってカテゴリ分けされています。
例えば、赤いカードは攻撃的なもの、などという具合です。

さて、カードの効果には大きく分けて2種類あります。

優越型と協力型です。

優越型は自分よりシンボル数で劣る文明に一方的に攻撃を仕掛ける内容のもの。
協力型は、自分以上のシンボル数の文明と共存を図るもの。

なぜか日本語版のテキストでは、優越型の口調がとてもキツく、物議を呼びそうです。

「要求する!お前のカードをよこせ!」みたいな。

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基本的に、優越型の効果が否応無いため、一度しゃがむと追いつく事は難しいです。
ただし、9〜10時代のカードには、一発逆転の内容も多く含まれているため、
ジャンピングチャンスを待つ事もある程度は可能です。

こうして手番をまわしていき、カードが尽きた時点で影響点の多いプレイヤーか、
規定数の制覇を達成したプレイヤーが勝利します。

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TBGL会にて海賊船さん、流さんと3人プレイ。

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準備万端。
A型の血が騒ぎ、説明書に忠実に時代のカードを円形に並べる。

各自は時代1のカードを2枚受け取り、そのうち一枚をプレイする。
手番は、プレイしたカードの五十音順(!)で決定する。

(!)と思ったけど、英語版はアルファベット順だったのでやっていることは一緒だった。

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COQ文明は紫の「神秘主義」からスタート。
通常通りカードを引くよりも、同じ色を引いたらそのままプレイできるので効率的。

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手番の2アクションを、これに費やすも同じ色は引けずに手札が増えただけ。

見ての通り、カードにはテキストが豊富に書かれている。
これらはフレーバーテキストなどではなく、全てカードの効果。

カードを引いた後は、ひたすらテキストを読む日々が続く。

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続いて、めくったカードが”塔”のシンボルを持っていれば、それをすぐさま影響点にできるというカードをプレイ。

今思えばこの頃は平和だった。

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カードの能力を駆使し、影響点ザクザク。
1時代と2時代を続けて制覇し、一躍時代の寵児となるCOQ。

しかし盛者必衰、影響点などという生存競争の役に立たないものにうつつを抜かすCOQを横目に、
他の文明は鉄の拳を鍛えていたのだ。

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あっという間に展開を重ね、もはやCOQの手番に行われる2アクションでは歯が立たない列強となった海賊船文明。

海賊船「要求する!お前のアクティブなカードを我が領域に譲渡せよ!」
   「要求する!お前の影響点を破棄せよ!」

もはや、竹やぶでマンモスマンに襲われたウォーズマン状態。
ウギャァ キン肉マーン

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そうかと思えば、前で温々と文明を育てる流さんまで、

流「要求する!お前の手札全てをこの一枚と交換せよ!」

しかも、くれるのは時代1のカードか。

強力な優越型教義の効果に、息も絶え絶えとなるCOQ文明。
しかも、カードテキストがキツい命令口調となっており、余計にムカつく。

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時代はもうすぐ10に到達しようかというところ。
聞く所によると、時代10には弱者が勝利するカードがあるらしい。

コレに全てをかけるしか無い。

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そこで、時代10のカードを引く「量子論」のカードをプレイし、次の手番を待つ。
頼むぜ、アインシュタイン先生!!

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海賊船「要求する!お前の青のカードを譲渡せよ!」

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ガビーン

こつ然と消えるシュタイン先生…

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もはや夢も希望もなく、天井を見つめているうちに海賊船さんの勝利。

続いて行った第2戦では、全員が手順に慣れ、単語等も大分頭に入っていた。
2戦目は5ー0ー0の圧倒的勝利。

プレイ時間 60分

オススメ度:★★★★★★☆☆☆☆

初回プレイの感想は、「大味なゲーム」です。序盤からある程度利用できる能力が備わっているお陰で、それは終盤に「指先で地球を破壊できる」ほどになります。そして、それらのカードのプレイにコストがかからないので、文明の繋がりというか、発展している感が乏しいと感じました。拡大再生産は大好きなので、文明の発展というテーマが合わないわけがないのですが、期待とは違うプレイ感でした。

初回で教訓得て望んだ2戦目では、1戦目で気付いた点をプレイに活かしました。それは、緻密に何かを狙ったりするようなゲームではないという認識を持ってプレイすることです。カードの効果を把握して、組み合わせを練っていけば、ある程度狙いを達成しながらゲームを進められるのかもしれませんが、まぁ1〜2回プレイのヒヨッコじゃ無理ですね。お互いにミサイルを打ち合っているようなゲームだと思って殴り合えば、それ程悪いゲームではないです。

イエロ社によるアートワークは文句無く、カードのイラストも美麗です。ただ、ゲーム中はひたすらテキストを読み続けることになるので、あまりイラストに注目している時間はありません。まさに、文明は文字の上に成り立っていると感じました。

今回のホビージャパンによる日本語化ですが、ゲームの内容に大きな影響を与えるような間違いが今のところ無いことは非常に嬉しい事だと思います。ただ、カードのテキストにかなりクセがあるため、合う人合わない人の差が激しそうです。本音は、もう少しニュートラルにゲームを楽しめるような文面だと良かったかなと思います。和訳ルールでは、元々わかりにくかった単語を日本語に変換したため、わかりにくさが倍増したようです。「ドグマ=教義」どちらも日本人には馴染みの少ない単語ですが、カタカナのままのほうが、変に「教」と「義」という文字の意味を知っている分、ゲームの用語としてはわかり易かったのではないでしょうか。その他の単語もしかりです。この辺りは和訳のセンスの問題なのか、HJの方針だったのか、下々の者にはわかりません。今日もプレイミスのナガミネ氏が、BGGにカタカナを巧みに残した和訳ルールを公開されていますので、是非そちらも眺めてみることをお勧めします。

非常に攻撃的な内容の効果が多いので、2人プレイが最適ではないかと思いました。多くて3人。4人はちょっと厳しいかな。箱が一緒だからといって、ビブリオスの切れ味を期待すると火傷するかも。






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旧版のカード。
悪くないけど、テキストが。