lupusburg.jpg29-Aug-2011 ボードゲーム レビュー


ルプスブルグ

作者:Gianpaolo Derossi
4−8人用
対象年齢:8歳以上

 凶悪な村に迷い込んだ、
       かわいそうな人狼の物語。

イタリア、ダヴィンチゲームズの人狼系ゲーム「ルプスブルグ」です。
最低8人のプレイ人数が必要な「タブラの狼」と比べて少人数で遊べ、
かつゲームマスターが要らないというところがウリと認識されているようです。

ゲーム設定は本家と変わらず、人喰いの人狼が紛れ込んだ村の一員となり、
夜な夜な人を喰う人狼を昼のうちに吊るし上げることを目指します。
本家と大きく違う要素としては、各人が2名のキャラクターを担当し、住む家があることや、
占い師の代わりに怪盗という役割があること、それに人狼だと思うプレイヤーへのBETがあることでしょう。

lupusburg3.jpg(クリックすると拡大します)
こちらが役割カード。
左が怪盗、右が人狼、それ以外は村人となります。
何人でプレイしても人狼は1枚のみです。
あったかい感じのイラストですが、人狼がナルシスト的に描かれているのは意味不明のセンスです。

lupusburg1.jpg(クリックすると拡大します)
ゲーム開始時に配られるのは、自分の色のマーカーと対応する家2軒、
そして人狼を吊るし上げる時に使用する投票トークンが2つです。

lupusburg2.jpg(クリックすると拡大します)
家のカードを裏向けると内部が見えるようになっています。
各自の家は、宝箱がある家と無い家が一軒ずつです。
宝箱のある家には、人狼や怪盗を住まわせられないという制約があります。
(従って、同じプレイヤーが両方の役割を受け持つことはできません。)

lupusburg5.jpg(クリックすると拡大します)
各自配られた役割カードをそれぞれの家にルール通りに住まわせ、ゲームの準備は完了です。
ゲームは夜フェイズ、昼フェイズの2つからなり、夜から始まります。

夜フェイズではまず、怪盗が好きな家に忍び込み、その家に宝があるかどうかを確認します。
その後、人狼が好きな家の住人を1人喰い殺します。
この時、望むなら自分のもう一方のキャラクター(村人)を喰い殺すこともできます。
夜フェイズでは、全員が目をつぶり、そのラウンドの親プレイヤーが目をつぶったまま台詞を言うことにより進行します。
例えば「怪盗は目を開けて、10数える間に忍び込んで下さい、10、9…」というように。
こうすることにより、ゲームマスターがいなくても人狼がプレイできるという寸法です。

lupusburg4.jpg(クリックすると拡大します)
さらに、人狼が喰い殺す相手を指定する時も、ゲームマスターの助けを借りる必要が無いように、
獲物を指し示すためのトークンが用意されています。
朝になり、目をあけてこのトークンが差しているキャラクターが、
昨晩人狼の餌食となったかわいそうな村人ということになるのです。

昼フェイズではそのラウンドの親によって指名されたキャラクターの持ち主が、
役割カードをお互いに秘密裏に見せ合う正体の確認が1回のみ行われます。
その後、人狼を担当していると思うプレイヤーへのBET(任意)を経てディスカッションが行われ、
怪しいと思うキャラクター2名まで絞った後に決戦投票が行われます。
ここで選ばれたキャラクターは村人にリンチされたことになり、死亡してしまいます。

人狼は、本家と同じく自分がリンチされる前に、村人達を喰い殺してしまえば漏れなく勝ちです。

一方、本家であれば村人達は、このリンチ相手に人狼を選べば勝ちなのですが、このゲームでは違います。

lupusburg6.jpg(クリックすると拡大します)
このゲームでは人狼をリンチしたからといって生き残った村人全員の勝利では無いのです。
各自、生き残った村人の人数、BETの結果、宝箱の家の住人の生存による得点計算が行われ、勝者が1名決定します。
BETとは、2〜8点と書かれたトークンを袋の中から3枚ひき、
そのうちの1枚を自分のマーカーで覆い隠すように怪しいと思うプレイヤーの前に置く事です。
BETできるのはゲーム中1度だけ。
以後はBETを変更する事は許されません。

こうして人狼を特定し、リンチしつつもBETや生存数で得点を稼ぎ、唯一の勝利者となることが目的のゲームです。

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

TBGL宮原ゲーム会にて、たっくんさん、ちきさん、海賊船さん、MOGさんと5人プレイ。
たっくんさん持ち込みのゲームをプレイさせて頂きました。

(例によって、たっくんのBG日記にザッピング記事が掲載されています!)

COQは人狼系のゲームは大好き、そして大得意。
まぁ、違いを指摘して、そこにロジックをみつけるというのは本業なので威張れませんが。

とりあえず、1戦2戦とやってみるとと、どうにも人狼が不利。
人狼を担当しているプレイヤーのキャラクターが1名になってしまった後、
親にカード情報の交換を迫られるとどうしても正体が明るみに出てしまう。

そこで、人狼に多少有利と思われるルール(説明書に選択ルールとして記載されていた)で3戦目。
キャラクターが1名のみとなってしまった相手には、情報交換を持ちかけられないルールでプレイ。

lupusburg1-1.jpg
COQの役割は、怪盗と村人。
残念ながら3戦やって1度も人狼になれず、無念。
しかし、このゲームでの怪盗は超重要かつ有利なキャラクターなのだ。

lupusburg1-2.jpg
で、夜フェイズ。
怪盗COQは、左隣の海賊船さんの家を盗み見る。
するとそれは宝箱のある家、ここには人狼は住めない。
つまり、海賊船さんが人狼だった場合、人狼はもう一方の家にいることになる。

そして夜が明けると、人狼の手はMOGさんの家を差していた。
目を開けた瞬間、自分が指されているとギョッとするはず、楽しそう。

親はたっくんさん。
たっくんさんは、海賊船さんのキャラクターを指定して情報交換。
なんと、そのキャラクターはCOQが家を覗いていない方のキャラクターだった。

この時、ある違和感がCOQの頭によぎる。

lupusburg1-2-1.png
青がCOQが見た家。
赤がたっくんさんと海賊船さんが交換した情報。

続いてディスカッション。

当然、COQはこう聞く。

COQ「お互いにシロでした?」

シロだったと頷く二人。…ということは、海賊船さんの完全シロは確定。
だがこれは、海賊船さんの家を見た自分にしか解らない情報。

ここで先ほどの違和感がよみがえってくる。

カードの情報を秘密裏に交換するため、写真奥側経由でカードを滑らせるように渡す2人。
見せるキャラを指定された海賊船さんは問題ないが、たっくんさんはなぜあちらのカードを選んだのか。
わずかだが距離が遠い上に左手での操作となる。
どちらも村人ならば、近い方を選ぶのが筋ではないか。

これを指摘すると、たっくんさんの目が泳ぐ。そして確信。
あとは周りのプレイヤーに如何に信じてもらうか。

COQ「絶対ばれてはいけない大事なカードを左手で扱いますか?それなりの理由があったのではないですか?」

と言いながら、自分の怪盗カードを左手で扱う。
もしも反撃にあって自分が狙われても怪盗が生き残る様に。
同時に、たっくんさんが右利きであることを再度指摘。

そして、最後の一押し。

COQ「ちきさん、COQのキャラをリンチしても成功率は25%でほぼランダム。
しかし、たっくんさんの残りのキャラをリンチすれば彼の疑いは晴れます。」

でもBETのチャンスは逸してしまった。
というか、ランダム性のあり過ぎるBETには既に魅力を感じていなかった。

lupusburg1-3.jpg
結果、海賊船さんとたっくんさんの確認し合っていないキャラが決戦投票に。
海賊船さんがシロだと知っているのはCOQのみなのでこの展開は打倒。

lupusburg1-4.jpg
そして、最後の投票。
COQの説得の甲斐もあり、リンチされるのはたっくんさんのキャラに決定。

そして…

lupusburg1-5.jpg
やはり!人狼はここに潜んでいました。

こうして見事、1ラウンドで人狼を突き止めることに成功しました。

誰もBETを行っていなかったので、2人のキャラが生きているCOQ、海賊船さん、ちきさんの同着勝利。

プレイ時間 11分(3戦目のみ)

オススメ度:★★★★★★☆☆☆☆

お気づきの通り、一見見事に見えるCOQの推理は実は愚手。
このゲームの勝者は一人なのです。従って、人狼を特定した暁には、他の村人プレイヤーを騙し、間違ったBETをさせ、自分だけが正しいベットをすることを目指さなくてはなりません。極端な話、正体の情報交換で人狼を見つけたとしても喋る必要は無いのです。

今回は3戦行い、人狼に有利なルールを採用したのにも関わらず、人狼は敗北を喫しています。このゲームでは、村人全員が強力して人狼をあぶり出そうとすると、人狼が勝利するのは非常に難しいと思います。上述の通り、村人達が他人を蹴落とそうとして初めて成立するゲームと言えるでしょう。つまり、このゲームの村人達は、決して善良な住民ではなく、村に潜んだ人狼の存在を知り、自分だけが有名になろうとしているエゴイストの集まりなのです。人狼役のプレイヤーはかませイヌのような状態です。

このゲームをプレイするにはこの点を充分に説明しなくてはなりません。
ここがゲームの肝だからです。プレイ後、人狼の弱さがどうしても解せず、原文ルールを確認して理解しました。ここを理解しないとゲームになりません。まぁ、ここまで理解して人狼役をやりたい人がいるかどうかは謎ですが。

ルプスブルグは、一見ゲームマスターの要らない人狼ゲームですが、実は全然違うゲームなのですね。それならそれで良いのですが、ほぼ唯一能動的に差をつけられるBET用のトークンが2〜8点と幅広い上にランダムという扱いなので、先に推理を成功させてもあまりお得感が無いのがシステムとして魅力に欠けます。期待値で考えれば、早くBETしたほうがお得なのかもしれませんが、それ以上に喰い殺されて失う得点や、8点をひけなかったために付く差のほうが大きいような印象です。

誰も信じられない疑心暗鬼状態のプレイは個人的にはあまり好みではありません。とても後味が悪いです。人狼をプレイするなら皆で団結して怖い人狼を倒して喝采したいです。心理戦大好きなプレイヤーが8人集まれば、それはそれはアツい戦いが予想されますが、軽そうに見えて、かなりの重量級ゲームとなりそうです。

スーパーヒトシ君的なBET方法だったら、もう少し変わったかもしれません。