nobleman.jpg25-Feb-2013 ボードゲーム レビュー


チューダーの薔薇(Noblemen)

作者:Dwight Sullivan
3−5人用
対象年齢:12歳以上

2012年度ペガサス攻勢の主砲、貴族な人達

これでもかと厚手のタイルを封入した渾身の一作

1.jpgメインボードには建設可能な城や宮殿の駒が並べられているが、それぞれのアイコンがとてもわかり易い。2012年度は、ペガサスシュピーレがとても多作でした。その中でも、社長が最もオススメしていたという「チューダーの薔薇(原題はNoblemen)」。ちなみに、チューダーの薔薇とは16世紀くらいのイングランド・チューダー家の紋章のこと。ランカスター家とヨーク家の赤薔薇・白薔薇を組み合わせたような紋章です。テーマがイングランド貴族であることから邦名をこのように設定したのでしょうか。

ゲームは中世のイングランドにおいて、自分の領地に城や宮殿などを建築し、貴族社会の威信点を獲得して爵位を上げ、勝利点を稼ぐというもの。ゲームの大きな特徴は、女王様駒の移動によるラウンド終了のコントロールと、お金だけでなく、土地タイルも資産として扱われているところ。タイルもお金も税収として手に入ります。自分の領地は、タイルを配置することにより拡大します。平地からは建物の建設場所が、森からはタイルの収入が、畑からはお金が、噴水からは貴族社会の威信点が得られます。

渾身の一作と言って良い程にコンポーネントは詰め込まれており、プレイアビリティについても良く考えられています。中央に配置するメインボードに至っては、「湿気で曲がるかもしれないから、その時は適度に裏面を使って調整して下さい」という充実ぶり。

その分、箱はズッシリと重く、厚みも半端でない。これで面白ければ言うこと無いが…


案外にシンプルなルール。サマリーは充実。

6.jpg最終得点計算から各要素で起こることまで、綺麗にまとめられている個人ついたて。コンポーネントが満載で、手番で出来ることも7通り程あるのですが、基本は結構シンプルなつくり。メインで行うのは、①自分のタイルを3枚配置する、②メインボード上の建物を自分の領地に建てる、③自分の領地からお金もしくはタイルを接収する、のうちのどれかです。その他、余ったタイルを寄進して勝利点に換える、賄賂を送って色々なことに使える賄賂タイルを集めるなどができます。また、手番中に一度だけ特殊なカードが使えたり、タイルを2:1交換できたりもします。



4.jpgタイル配置の例手番でタイルを配置すると、タイルの種類に応じた収入が得られます。また、タイルは同一種類を4枚配置することにより地形として完成し、追加の収入(4枚の中心にできたマークがそれを表す)を与えます。お金やタイルはタイル配置で対応するタイルを配置することにより、直ちに得ることも出来ますが、それだけだと足りないので、手番でタイミングを捻出して接収する必要があります。


このゲームでのタイルは、お金と同じく接収によって領地から生み出すことができ、寄進することによって勝利点に変えられるので、「タイルも資産」感があって新しいです。


手番数は、万人に平等ではない

5.jpg女王駒がラウンドの鍵を握るこのゲームでは、10年期が3回行われます。それぞれの最後には、領地の建物による得点が得られます。1つの10年期は複数のラウンドで構成されていて、現在のラウンドは、起こるイベントの書かれたトラックをぐるぐる回る緑色の駒によって表示されます。各ラウンドの終了条件は、とても変わっていて「女王駒を持っているプレイヤーの手番が終了した時」となっています。手番で行えるいくつかのアクションによって女王駒はプレイヤー間を行き来するので、自分の手番が回ってくる前にラウンドが終了してしまうことも度々発生します。また、ラウンド終了時に女王駒を所持しているプレイヤーには、勝利点が与えられます。女王駒の移動を予想し、コントロールすることが勝利への近道と言えそうです。

手番数がプレイヤーによって違うというのが、このゲームの2大特徴のうちの1つ。女王駒をうまく扱ったプレイヤーは、決算までの手番数をコントロールすることが可能。


爵位変更のギミックと他の領地への侵略、最終得点

3.jpgついたても大きく、手抜きはいっさい感じられない10年期中2回、仮面舞踏会が執り行われます。ここで、領地の噴水、宮殿などから威信点を示す事によって、上位のプレイヤーから順に爵位を受け取ります。爵位があがると、勝利点が増え、建築のコストが下がるという利点があります。この爵位のギミックが面白く、自分のついたてにさすことによって首から上だけが変更されるという他に類をみないアイデアが採用されています。



2.jpg完成した地形には、他のプレイヤーが兵士を送り込んでくる最後に、プレイヤー間のインタラクションを狙ったと思われる”侵略”の要素について。自分の土地に城を建設すると、漏れなく兵士を他人の領地に送り込む権利が得られます。送り込んだ兵士は完成した地形の中心に置き、接収や仮面舞踏会などでのタイルや威信点の収入を奪うことができます。プレイヤーはこれにあらがう事は出来ず、ゲーム中これを排除することもできません。

10年期ごとの決算では、領地に建てた建物の種類と位置に応じた得点を得ることが出来ます。建物の得点はその他の要素と比べると比較的高得点です。従って、収入だけを考えてタイルを配置していると、建物の得点がのびないというジレンマがあります。

こうして10年期を3回過ごし、最後に最も勝利点を獲得していたプレイヤーが勝利します。

侵略の要素については、ルールブックを読んだ時から不安を持っていましたよ…


TBGL会にて

2.jpgTBGL会にて5人プレイ。

COQのみが4人プレイでの経験者ということで、初手からマークされる。

完成した森に、兵士が送り込まれた。
直後、他のプレイヤーがさらに城を建設し、噴水にも兵士が送り込まれる。

この時点で兵士が送り込まれているのはCOQ陣営のみ。エエェェ…

どうも、序盤の体勢が決まる前に個人攻撃先を決めなければならないのがこのゲームの特徴らしい。誰も個人的な恨み等ないので、2回目のプレイヤーを叩くというのは「個人攻撃に合理性を持たせたい」という心理からは納得の選択。

序盤から大きなハンデを背負わされたものの、女王駒を何度もたぐり寄せて手番数をコントロール。
場内から挙る悲鳴を避けて、ギリギリでゴール。

結果首位だったので、選択攻撃がCOQに集中したのも必然といえば必然でした。。。



プレイ時間:60分(5人)

2013/2/16

オススメ度:★★★★★★☆☆☆

タイルをも収入と一部として領地を拡大し、次第にコスト高となる建物を効率よくして高得点を目指す。爵位を上げれば自分だけの特典も用意されている。この辺りのシステムは、ドイツゲームのエッセンスをふんだんに取り入れた面白みを存分に持っていると思います。

しかし、城を建設することにより発生する個人攻撃の要素、これがイケマセン。全く個人攻撃等したくない時でも、城を建設することによって(城は決算の得点になります)漏れなく個人攻撃が着いてくるのです。はっきり言って意味がわかりません。城は特に序盤に建設することが多いので、この個人攻撃には理由付けが難しいです。例えそれが不安定な理であったとしても、トップを攻撃する等というもっともらしい理由があれば個人攻撃も多少は許容されるのかもしれませんが、このゲームはそれさえもありません(私は、基本的には、トップだろうと個人攻撃を加えてバランスを取らせるようなゲームは駄目ゲーだと思っています、マルチなどそういうのが前提ならいいですけどね)。誰かが、”兵士の派遣”はそれ程強い攻撃ではないから、ゲームのバランスは保たれていると言っていましたが、それほど影響を与えないなら要らないんじゃないでしょうか。

一方、私は2回のプレイでそれ程違和感は感じませんでしたが、もう1人のプレイヤーは、私が女王駒をたぐり寄せることによって飛ばされた手番の数々に不満を感じていたようです。手番を飛ばされる事も抗えないし、予測が難しいので、ストレスばかりが溜まる…と。

例え、面白みを持ったゲームでも、懸念点が2カ所もあると、微妙ですね。面白いと感じる方も多いようなので、あくまでも私見ですが。ペガサスシュピーレは、もう少しディベロップに時間を使っても良いと思います。悪くないんだけど、荒削りという印象のゲームです。