ScriptsandScribesdice.jpg16-Jul-2012 ボードゲーム レビュー


写本と修道士ダイスゲーム

作者:Steve Finn
2〜5人用
対象年齢:10歳以上

この流れは、誰にも止められない

写本と修道士」というカードゲームを同人として世に送り出したDr. FinnことSteve氏。
彼のこの傑作が「ビブリオス」としてリメイクされたのは記憶に新しいと思います。

Dr. Finnは、同じ写本と修道士をテーマとしたダイスゲームのリリースを自身のHP上で明らかにし、
2012年の6月にこれを完成させて、世界中に向けて発送を開始しました。

本当に、2011〜2012年にはダイスゲームの発売が多いです。
この流れが止まる日は来るのでしょうか。

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さて、写本と修道士と同様、このゲームでもイケテル写本室をプロデュースするために、
インクや巻物などのリソースを集めていきます。

ただし、ダイスゲームでは、勝敗を決定するのはお金です。
手に入れたリソースをその価値で売却し、最もお金を集めていたプレイヤーが勝利します。

左側から5つのトラックが、それぞれのリソースの持ち数を示し、
一番上にはそのリソースの価値を示すダイスが置かれています。
(写本と修道士やビブリオスと同じですね)

一番右側、紫色のトラックは、大司教からの寵愛を示すトラックです。

ボード上に置いた自分の色の駒で、リソースの所持数等を表します。

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ゲーム中、お金は手札となります。
ユーロサイズのカードを太らせたようなサイズで、実に寂しいデザインです。
ダイス目である種の競りが出ない限り、あまり活躍する事の無いカードなのですが、
写本と修道士の味のあるデザインからすると、少し残念ですね。

また、5人プレイではカードの枚数が少し足りないらしく、次の版(出ればですが)では
10の価値のカードが追加される予定のようです。

注意:
初版マニュアルには、「手札の上限を10枚までとする。」との記述がありますが、
このルールは公式に廃止されることが発表されています。

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手番では、5つのリソースと大司教のマークを持つ6面ダイス5つと、
お金ダイス、リソース価値ダイスの計7つを一緒に振ります。

出た目を、手番プレイヤーから1種類ずつピックしていき、対応するアクションを行っていきます。
1つずつではなく、1種類ずつというのがポイントですね。
同じリソースの目が出ていれば、一気にその個数分だけそのリソースを手に入れられるというわけです。

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ダイスを振ったら、まず最初にお金ダイスに注目し、以下の4つの場合分けに従います。

・お金(1〜3)が出た場合:通常ラウンド
・ダイスが出た場合:リソースダイスを振り直せる→通常ラウンド
・ハンマーが出た場合:リソースダイスの競り→手番を最初からやり直し
・ズタ袋が出た場合:自分の駒をお金に換える競り→通常ラウンド

お金が出た場合には、そのダイスをピックしたプレイヤーにはその分だけお金が与えられます。

ダイスが出た場合には、1回につき1金を支払うことによって好きな数のダイスを振り直せます。

ハンマーが出た場合には、今出ているリソースダイスの目全てを一纏めにして競り合います。
この時の競りは、カードを裏向きに出して、最後に一気にオープンするという方式です。
競りの間は枚数のみのビッドなので、そのプレイヤーがどのような額面を揃えているかが鍵となります。

ズタ袋が出た場合には、自分のリソース駒を売却する競りを行います。
価値が著しく下がったリソースや、もはや乗り遅れてしまったリソースの収集を放棄する代わりに、
10金から初めて最低0金までの値を逆競りして売却します。
一度手放した駒は、二度と戻ってきません。

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お金ダイスの処理が終わったら、手番順にダイスをピックしていきます(これを通常ラウンドという)。
リソースのダイスをピックしたら、その個数分だけ自分の駒を上げます。

5つのリソースそれぞれで所持数1位2位のプレイヤーは、
ゲーム終了時にリソースの価値×3倍または、1倍のお金を得ることができます。

また、それぞれのリソースのマスには早い者勝ちのボーナスコインが描かれており、
先に到達したプレイヤーから順に、お金を得ることができます。

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リソースの価格は、リソース価値ダイスをピックすることによって行うアクションで調整します。
ダイスの目に従って、指定された個数の価値を表すダイスの目を上下します。

こうして、誰かが大司教の寵愛を最大に受けるか、リソース最上段まで駒が3つ到達するか、
もしくは誰か1人のリソース駒5つのうち4つが売却されるかしたらゲーム終了。

最後にリソースの順位による得点分配を行い、最もお金を集めたプレイヤーが勝利します。

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MICC会にて、まっちゃん(赤)いたるさん(青)、ちきさん(黒)と4人プレイ。
COQは緑

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ゲーム開始時。
プレイ人数によってリソース駒のスタート位置が変わる。

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写本と修道士との大きな違いは、やはり情報の開示。
初手で緑のリソース駒2つを取ることに成功したものの、
他のプレイヤーにとっては潰すべき対象が明らかになっただけ。

出る杭は打たれますよ。

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次のラウンド。
ここで「ズタ袋」登場。

10から次第に下げていく競りで最初にリソースを1つ放棄する権利を4金で売ったのはいたるさん。

そして、それは緑のリソース…

この後、いたるさんがリソース価値ダイス目の調節をするなら、当然緑を下げてくる筈。
誰かと共闘し、win-winの関係を築くゲームなのだとこの時に気付く。

次に出た「ズタ袋」を落札し、COQもいたるさんが狙っていると思われる水色のリソースを放棄。
お互いに左手の手袋を投げつける展開。

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そこで、COQは狙いのリソースでのライバル争いを演出できるように、
暫し人を待ってみたりする。

万事と同じく、ライバルは成長を促す、と信じて。

ある程度共にリソースを成長させ、自分の手番で良いダイス目を振り、一気に抜きさる。
リソース振り直しのリロール目を振る事ができれば。

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中盤にさしかかり、COQは自分の狙う右3つのリソーストラックにおいて、
それぞれ盟友を得るような展開。

リソースの価値もほぼ平均化されており、競馬で言えば、
第三コーナーを曲がって絶好の位置に着けているような流れ。

一方、他のプレイヤーは、大司教の寵愛を深めている。
ゲーム終了条件を操作できるという恩恵は大きいが、配置されているボーナスコインに
それ程の魅力を感じなかったので、COQはこれをほぼ放置。

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そして、ここから第4コーナーに突入する終盤。
終了条件も近づき、一気にヒートアップするリソース獲得レース。

最初に放棄した青のリソースの価値が「5」と高騰している。
ほぼそこにしか注力していないいたるさんは、最後に黒のちきさんを差す気なのだろう。
なんとかしてあのダイスの目を下げなければならない。

そこで出たダイスを複数調節できる目。
しかし、そのダイスをいたるさんが掴み、握りつぶすことを選択。
流石のビッグプレーに手も足も出ない。

大司教の寵愛トラックでは、ケツ差し出しレースも依然としてアツい。
最上段の7金ボーナスを手に入れる事はできるのだろうか。

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しかし、寵愛の最上段に駒が達する前に、リソースの最上段に3つの駒が到達してゲーム終了。
なんと、青のリソースの優位は、ちきさんがかっさらって終了した。
この15点を加えてちきさんがブッチギリのトップ。

誰もが待ち望んでいたリロールの目が振られる事は無かった…

ちき:62 COQ:50 まっちゃん:44 いたる 39

プレイ時間 25分

オススメ度:★★★★★★☆☆☆

写本と修道士(ビブリオス)の雰囲気はそのままに、ダイスゲームらしくライトなプレイ感に仕上がっていると思います。リソースや勝敗の順位付けなど、ルールは細部まで考えられており、唯一不備のあった手札制限についても、ネット上で作者が直ぐに訂正を行うなど、好感が持てますね。

このゲームの肝は、リプレイでも触れている通り、他のプレイヤーとの共闘関係を構築し、自分がスタートプレイヤーとなったラウンドで、如何に自分だけが得をするダイス目を振れるかというところにあると思います。

自分だけが得をする目、すなわち「リロール目」です。この目を利用し、頂上付近で一気に相手を抜き去ることに成功できれば、そこの得点は揺るぎないものとなります。そこに至るまでのジリジリ感を楽しむゲーム、というのが私の印象です。

本家は相手の狙いをカードの分配から予測し、狙うリソースの取捨選択をしてギリギリの勝利を目指すという、切れ味鋭いゲームでしたが、ダイスゲームとなった分、展開はダイスの出目に左右され、ワイワイと楽しむゲームになったようです。

ところで、本家では写本室に必要なリソースを集めて得点することが目的でしたが、本作では、最終的にリソースを売却してお金を集めるという下賎な勝利条件となってしまいました。この点は、残念です。

自分は、元のゲームのほうが好みですが、30分で終わるダイスゲームとしては中々良いゲームだと思います。



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Dr.Finnのページで直接販売しています。
日本までの送料を含めて40$程度です。
(画像にリンクを貼ってあります)